2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子性固体の光物性予測のためのオーダーN量子分子動力学法の開発
Project/Area Number |
06F06065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青木 百合子 Kyushu University, 大学院・総合理工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VLADIMIR Pomogaev 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | Elongation法 / 非経験的分子軌道計算 / 密度汎関数法 / スペクトロスコピー / ポリメチルメタクリエート / CADMA |
Research Abstract |
大規模系における局所励起状態を効率よく実験値を再現するための量子化学的方法を開発し、巨大有機分子に応用した。量子化学的手法を用いて、クロモファー中心をもつ巨大高分子系において、特に非線形光学効果を含める光物性を効率よく抽出する方法を開発するとともに、電子相関効果を導入する方法を考案し、各種スペクトル解析が可能となるよう発展させることが目的であった。クロモファー中心などのスペクトロスコピーを計算によって求めるための応用として、高分子鎖の近傍に局所的に存在する分子のもとで、高分子鎖の構造最適化を行った。次に、両末端から伸長したオリゴマーの領域局在化軌道(RLMO)を、最後に中心部でCADMAなど他の分子と連結した上で、その部分のRLMOを抜き出してQOPという半経験的にスペクトロスコピーを計算するためのプログラムにデータを送るためのアルゴリズムを開発した。クロモファー中心における励起状態を、領域局在化軌道基底で小さな配置間相互作用行列を対角化することにより、局所的に効率よく計算することを可能とするGAMESS-Elongatior-QOPプログラムを完成させた。半経験的であるが局所的な励起を有する系に対して超効率的に励起エネルギー等が求められるようになったため、本方法により種々の巨大分子に対して励起エネルギーおよび振動子強度を計算した。従来法による全系計算と比較したところ、非常に良好な結果が得られたため論文発表を行った。 さらに本方法を分子動力学法であるTinkerというプログラムと結合させ、Elongation法により量子化学的に計算した電子状態から力の乗数を分子動力学法プログラムに送り込み、周期境界条件を課したダイナミクス計算からスペクトルの振動子強度の分布を時々刻々シミュレーションができる手法を構築した。統計的な処理と量子化学励起状態計算を組み合わせる手法をプログラム化し、トリプトファンやエストロゲン、その他、クロモファー中心となる種々の有機分子を高分子にトラップさせた系に対して適用したところ、実験値と良好に対応するスペクトル曲線が得られたため論文公表を行った。
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Research Products
(5 results)