2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06068
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
小杉 信博 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIMBERG Victor 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 外国人特別研究員
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Keywords | アミノ酸 / 内殻励起 / 円偏光 / 軟X線吸収スペクトル |
Research Abstract |
昨年8月から研究を開始した。各種アミノ酸分子をとりあげ、炭素、窒素、酸素の内殻励起領域の円偏光軟X線吸収スペクトルを理論的に解析した。円偏光スペクトルの理論的アプローチは必ずしも確立していないため、種々の方法を比較した。その際、同じ条件での比較をするため、必要なプログラムルーチンを新たに開発して、既存のものに組み込んだ。取り上げた方法は、静的交換ポテンシャル法(STEX法、基底状態の分子軌道と内殻イオン化状態の分子軌道を比較)、乱雑位相近似法(RPA法、基底状態の分子軌道、ab initio法とDFT法を比較)、内殻励起ハートリーフォック法(HF法、基底状態の記述にも内殻励起状態の分子軌道を使った直交計算とより正確な基底状態分子軌道を使った非直交計算を比較)である。種々の基底関数に対し、安定した挙動を見せるもの、つまり、基底関数の改良によって各種分子積分値が収束してくるものは(ab initio)RPA法であった。ただし、DFT RPA法は全く使いものにならなかった。RPA法は分子中のいろいろな内殻別に計算し直す必要がなく、実用上、非常に簡便な方法となる。ただし、欠点として基底状態の分子軌道を使うために励起エネルギーの絶対値は過大評価される。これらをひとつの論文にまとめ、Journal of Chemical Physicsに投稿した結果、掲載(現在、印刷中)が認められた。
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