2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型有機合成を目指したキラル相間移動触媒の簡便な調製法の開発
Project/Area Number |
06F06069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸岡 啓二 京都大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 永剛 京都大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 環境対応 / 化学工学 |
Research Abstract |
21世紀の有機化学では金属を用いない環境調和型不斉合成反応の開発とその実用化は一つ大きな課題である。これを実現するひとつの方法は、当研究室では開発した相間移動触媒N-スピロ型のキラルアンモニム塩を用いた不斉合成である。今まで我々は開発したビナフチル骨格を有するキラル相間移動触媒が不斉アルキル化反応、不斉アルドール反応や不斉Michael付加反応などにおいて極めて高い活性及び選択性を発見し、また複雑な操作を必要としないため、実用化が極めて容易であると考えられ、工業的な面からも大いに注目注目されている。ところが、ビナフチル型触媒の合成には官能基変換が容易という訳ではなく、多段階を要するという欠点がある。そこで、我々はその構造を簡略化を計り,実用化を視野に入れた触媒の開発を研究目的とし、合成しやすくより安価な実用化できるような柔軟性があるビフェニル骨格を有する、3,3'位に3,4,5-F_3-C_6H_2置換基をもつキラル相間移動触媒(S)-1aと3,3',5,5'位に置換基をもつキラル相間移動触媒(S)-1bを開発した。 最初に入手容易な6,6'-ジメチル-2,2'-ビフェノール(S)-2を用いて、水酸基をメチル化した後、選択的に5,5'位プロモ化し、5,5'-ジブロモ-6,6'-ジメチル-2,2'-ジメトキシビフェニル(S)-3を得た。続いて、鈴木-宮浦カップリングで5,5'位に3,4,5-F_3-C_6H_2置換基を導入した後、6,6'位のメチル基をプロモ化した。最後にジブチルアミンと反応させて、効率的にビフェニル骨格を有するキラル相間移動触媒(S)-1aを5ステップで83%の全收率で合成した。同様の手法によって3,3',5,5'位に置換基をもつキラル相問移動触媒(S)-1bも5ステップで45%の全收率で合成することができた。 これらの触媒はグリシンのベンゾフェノンイミン誘導体への不斉アルキル化(アルキル、アルケニル,アルキンニル)反応において、高いイナンチオ選択性(80-98%ee)及び反応性(81-98%yield)を有することが分かった。
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Research Products
(2 results)