2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大須賀 篤弘 京都大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JEYARAMAN Sankar 京都大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポルフィリン / 環拡張ポルフィリン / ヘキサフィリン / コンフォメーション / 金属錯体 / 芳香族性 |
Research Abstract |
環拡張ポルフィリンのなかでも、ポルフィリンとの性質の類似性でもっとも興味深いヘキサフィリンは、主に二つのコンフォメーションを取ることが分かってきた。めがね型構造のタイプ1コンフォメーションでは、すべてのピロールが内側を向いているのに対し、タイプ2コンフォメーションは平面の長方形構造をとり、長辺側の二つのピロールが反転した構造である。メゾ位がすべてフェニル基であるヘキサフィリンは、かなり前に報告されているが、非常に不安定で、溶液状態では数時間で完全に分解する。この化学的不安定性の理由もよく分かっていない。当初、メゾ位芳香族置換基のオルト位に置換基がないとこの不安定性が生じると思われていたが、適度な電子吸引性芳香族置換基であれば、ヘキサフィリンは十分に安定であることが分かった。これにより、幾つかの新しいヘキサフィリンの合成に成功した。また、塩化メチレン中、ヘキサフェニルヘキサフィリンをメタンスルホン酸でプロトン化すると化学的安定性が増加することもわかった。予備的な結晶構造解析により、このプロトン化されたヘキサフェニルヘキサフィリンが第三のタイプ3コンフォメーションを取っていることがわかった。タイプ3コンフォメーションでは、分子全体はだいたい三角形の構造をとり、ピロールは交互に内側と外側をむく構造となる。おそらくプロトン化されたピロール同士の静電反発をさけるために、この構造を取るものとおもわれる。現在、精密な結晶構造解析を進めているところである。
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