2006 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性棒状ミセルと、マイクロエマルションの生成機構に関する研究
Project/Area Number |
06F06089
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VARADE Dharmesh Subhashrao 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリ(オキシエチレン)ソルビタンオレイン酸エステル / ひも状ミセル / 増粘 / 粘弾性特性 / 混合界面活性剤系 / 非イオン界面活性剤 / 分子集合体 |
Research Abstract |
親水性界面活性剤は親水基頭部の分子占有面積が大きいため水中で溶解すると球状のミセルが形成される。しかし、親水基頭部の小さい親油性界面活性剤を添加すると、頭部の平均分子占有面積が減少して混合ミセル界面の曲率が低下するため球状ミセルが棒状、紐状へと成長する。紐状ミセルは高分子鎖のように絡み合い、その水溶液は増粘し、粘弾性体となる。本研究では、非イオン界面活性剤ポリ(オキシエチレン)ソルビタンオレイン酸エステル(Polysorbate80,日本油脂)を用いた紐状ミセルの形成とその粘弾性特性の解明を行なった。動的および静的粘弾性測定はコーン-プレート型粘弾性測定装置(AR-G2、TA Instruments)を用いた。15wt%Polysorbate80水溶液にトリ(オキシエチレン)アルキルエーテル(C_mEO_3,m=12 and 14,日光ケミカルズ)を添加していくと、補助界面活性剤濃度の増加とともに溶液のゼロ剪断粘度は徐々に増加し、極大に達した後,減少した。これはミセル成長にともない、ひも状ミセル同士の絡み合い点の増加による増粘作用および、ゼロ剪断粘度の極大値後の減少はひも状ミセルの分岐による連結部のミセル表面上での側方移動によるものと解釈できる。また,ゼロ剪断粘度の極大値はC_<14>EO_3系の方がC_<12>EO_3系よりも大きくなった。ゼロ剪断粘度が極大になる近傍の組成では、動的粘弾性測定より得られた貯蔵弾性率、損失弾性率の挙動が紐状ミセル水溶液系に典型的に見られるものであった。C_<14>EO_3添加系溶液においてゼロ剪断粘度の温度依存性を調べたところ、25℃から30℃へ変化させた場合、親油性補助界面活性剤の添加量がより少ないときに増粘するが、ゼロ剪断粘度の極大値は低下することがわかった。
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