2007 Fiscal Year Annual Research Report
水産物由来コラーゲンを利用したバイオマテリアルの開発
Project/Area Number |
06F06104
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
棟方 正信 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHEN Xuan Ri 北海道大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 鮭皮コラーゲン / 鮭白子DNA / スキャフォールド / 創傷治癒 |
Research Abstract |
鮭白子由来DNAと鮭皮由来コラーゲンを用いて創傷被覆材を作成した。DNAと鮭皮コラーゲンをEDC架橋し線維ゲルを作成した場合,凍結乾燥後,水溶液に浸漬すると収縮するため,DNAと鮭皮コラーゲンとの架橋反応液中のイオン強度を高め,DNA-鮭コラーゲンスポンジの上にもう一層のゲルを形成する方法を検討し,収縮しない2重層スポンジを作成することができた。ラット全層皮膚欠俺損創モデルにおいて,スポンジ構造を有するマテリアルを使用しないと創深部に細菌増殖や毛の混入が起こることがわかった。スポンジマテリアルの場合は表層で細菌や毛など異物を排除でき線維芽細胞増殖の3次元的空間を確保するため,良好な治癒効果が得られた。DNAは親水性であるため湿潤環境を増加し,コラーゲン線維表面での血小板凝集速度を遅延化または分散して大きな痂皮形成を抑制する効果があった。またDNA添加により,新生血管の数の増加が認められた。2重層スポンジはDNAと鮭コラーゲンを化学修飾させた材料であるため,生体内での分解速度が遅く,効果が持続した。DNA-鮭皮コラーゲン2重層スポンジは鮭コラーゲンスポンジより,VEGF, Adenosine receptors A2aの遺伝子発現量が高く,新生血管形成を促進していることが裏づけられた。デオキシヌクレオチド-鮭コラーゲンスポンジではVEGF, Adenosine receptors A2aの遺伝子発現量は低かった。低分子のデオキシヌクレオチドはDNAより早く分解され,持続的な機能が発揮できなかったことが原因と推定された。皮膚創傷治癒過程中DNAは組織中の細胞膜表面にあるAdenosine receptors A2aを通じて機能を発揮する可能性が示された。
|
Research Products
(1 results)