2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面電気化学処理による硬組織結合性・軟組織接着性に優れた歯科用インプラントの開発
Project/Area Number |
06F06105
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
塙 隆夫 Tokyo Medical and Dental University, 生体材料工学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOPYL S. A. 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 歯科インプラント / 金属 / 生体機能分子 / 固定化 / 表面分析 / 表面水酸基 |
Research Abstract |
歯科インプラントでは、歯槽骨埋入部分で硬組織との結合性、結合上皮接触部で軟組織との接着性が必要とされ、これらを改善するために多くの研究が行われている。本研究では、このような個別の表面処理を行うだけではなく、チタンインプラントシステム全体の表面の相互作用を考え設計を行うことで、これらの硬組織・軟組織に対する結合性を同時に向上させることを目指す。本研究では、適当なタンパク質の吸着層形成が、骨形成及び軟組織接着に有効であるため、タンパク質を配向して電着する技術の開発を目的とする。そのため、グリシンの電着挙動を明らかにする。 最も単純な生体分子であるグリシンのチタン表面への固定化を目指し、pH1.5、5.0、5.97、7.4、9.0、12.0.の各溶液中で、90min及び120minの浸漬を行った。その結果、この範囲では固定化厚さに差はみられなかった。一方、これらの溶液中で+1.0Vで5min及び10minの電着を行ったところ、pHに依存して固定量が大きく異なることがわかった。固定化量は、グリシンの等電点、チタン表面酸化物の零電荷点、pHに依存していることが明らかになった。固定化量と固定化形態は、操作プローブ顕微鏡で確認できた。以上から、生体分子をチタン表面に固定化するためには、生体分子の等電点とともに、チタン表面の零電荷点、これらの電離状態を支配するpHが重要な因子であることを明らかにできた。 この結果は、硬組織接合及び軟組織接着に有効であると考えられるコラーゲンのようなタンパク質の電着条件に示唆を与えるものである。
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Research Products
(2 results)