2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の電気力学的操作とそのチップテクノロジーへの応用
Project/Area Number |
06F06108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鷲津 正夫 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TECHAUMNAT B 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 細胞融合 / 膜電位 / エレクトロポレーション / 境界要素法 / 多重極展開法 |
Research Abstract |
本研究は細胞のエレクトロポレションや融合の過程の高効率化を目標とした。昨年度には(1)細胞膜電圧の解析手法ならびに数値計算手法を開発し、(2)それらの過程にマイクロオリフィスによる電界集中の効果が有用であることを解析的に明らかにした。今年度はその解析結果に基づき、電界集中を用いる電気細胞融合を実験した。 電気細胞融合の実験を行うために顕微鏡下で細胞融合が容易に観察できるような流路構造を採用し、チップを設計した。流路内でオリフィスの両側に細胞を引き寄せ、固定するには流れの圧力を制御する手法が不利なため、高周波電界による誘電泳動力を使用した。誘電泳動の電界と、細胞融合を誘導する低周波電界はチップのカバーに適切なギャップを持つ電極を設けた。本研究の細胞融合チップは非常にシンプルな構造を持つため、Single-Maskリソグラフィによって作製ができる。チップは使い捨てできる様にPDMSで作られた。 以上述べたチップに別々の実験で植物プロトプラストまたは白血病細胞(Jurkat細胞)をそれぞれ導入した。誘電泳動力でオリフィスに固定された細胞に周波数変調電界を印加し、電気融合を起こした。本研究の実験から以下の結果が得られた。(1)効率が約数%より低い従来の手法と比べて、高効率(90%以上)の電気細胞融合に成功した。(2)オリフィスを用いることによって大きさが相違する細胞の融合が可能であった。(3)細胞が長いチェーンを成形した場合にも1対1の融合が確実に制御できた。さらに印加電圧は数Voltの程度で、高電圧の電源を必要としない。 本研究の結果から、マイクロオリフィスを用いる高効率な細胞融合法が解析的、実験的に実証できた。今後の展望としてはプロセスの並列化などによって様々な応用が期待される。
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Research Products
(1 results)