2007 Fiscal Year Annual Research Report
高誘電率絶縁薄膜の遠赤外から紫外領域にわたる光学吸収特性に関する研究
Project/Area Number |
06F06127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥海 明 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIDIEZ Julie 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 高誘電率薄膜 / 内部光電子放出 / エネルギー障壁 / ヘテロ界面 / 界面ダイポール |
Research Abstract |
研究の第一の目的は、商誘電率薄膜材料のバンドギャップおよび電極に対するエネルギーオフセット量を定量的に見積もることである。当該材料を用いるもっとも大きな理由が、絶縁膜のリーク耐性をあげることにあるので、エネルギー障壁量を見積もることはもっとも重要である。しかしながら、多くの研究が誘電率に焦点を当てており、エネルギー構造に関してはX線光電子分光法(XPS)による間接的な評価結果が報告されている程度である。そこで、本研究では高誘電率絶縁膜を用いたMISキャパシタ構造に電位差を加えた際に、絶縁膜の障壁を越えて流れる電流を光の波長を走査しながら評価し、バンドオフセット量および電界依存性の定量化(Internal Photoemission)を行なった。本手法は他の電子線、あるいは光(X線)使った吸収スペクトル解析による手法に比べて、デバイス構造そのものを用いて、直接的にDC電流で決定できるという点から大きな優位性をもっている。これは分光学的手法と電気計測とを結びつけた方法であり、リーク電流を見積もるという観点からもより適した手法と考えられる。 本研究によってエネルギーオフセット量以外に、次のような予想外の結果が明らかになった。HfO2とSiO2という二層の誘電体が積層されたMISキャパシタ構造では、HfO2とSiO2の界面に有限の電位差(ダイポール層)が生じていることがわかった。同一の電極(A1)に対するHfO2とSiO2のバンドオフセット量を定量的に比較すると、A1/HfO2/SiO2/Siという系においては(SiO2はSi界面に不可避的に出来てしまう1nm程度の極薄膜)、系の内部に約0.3eV程度のバンド不連続が生じていることが示唆された。この起源が絶縁膜/絶縁膜の界面に由来したダイポール層の存在の実証というヘテロ界面に対する極めて新しい研究の局面と結びついている。それだけでなくこのことは次世代半導体技術開発にむけて世界中で研究されている高誘電率ゲート絶縁膜CMOSのしきい値を設定する際に決定的に重要な知見となる。
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Research Products
(3 results)