2006 Fiscal Year Annual Research Report
Si系新チャネル材料MOSトランジスタにおけるキャリア輸送特性の研究
Project/Area Number |
06F06134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 信一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OLIVIER Weber 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ひずみSi / Ge / 移動度 / MOSFET / 散乱機構 |
Research Abstract |
本研究では、Si系新チャネル材料MOSFETである、ひずみSi、SiGe、GeチャネルMOSFETの反転層キャリアの輸送特性の明確化に関する研究を進めている。今年度は、微細化とともに重要になっているクーロン散乱に与えるひずみの効果とその物理的機構の解明を行うため、界面準位と基板不純物それぞれに起因するクーロン散乱により決まる反転層移動度を抽出し、これらに与えるひずみの効果を、nチャネルMOSFETを用いて、実験的に調べた。結果として、基板不純物に起因するクーロン散乱移動度は引っ張りひずみ印加により向上する一方、界面準位によるクーロン散乱移動度はひずみ印加により低下することを見出した。これらは、電子のサブバンド占有率と散乱確率の観点から理解できることが明らかとなった。二軸引張りひずみの印加により2重縮退バレーの電子が増大すると、平均的有効質量は軽くなる一方で、波動関数により決まる電子の平均位置は界面に接近する。このことから、散乱確率が場所に依存しない基板不純物に起因するクーロン散乱移動度では、ひずみの印加により有効質量の効果により移動度が向上する一方、界面に近づくほど散乱確率が増える界面準位によるクーロン散乱移動度では、移動度が低下することになる、ということが分かった。 更に、一軸ひずみと二軸ひずみの効果を分離して測定することを可能にするため、ウェハ上の素子に機械ひずみを印加する測定系を構築し、初期データを取得した。ひずみのないSi MOSFETに、この装置を用いて機械ひずみを印加した結果として得られたピエゾ係数は、これまでの報告値とよく一致することを確認し、測定系の妥当性が保障できた。また、応力の最大値として、300MPaまでの一軸応力が印加可能な測定系であることを明らかにした。
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