2006 Fiscal Year Annual Research Report
沼地や湖沼生態系の持続的な管理と保全のための生物学的方法の利用について
Project/Area Number |
06F06141
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
浅枝 隆 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAJAPAKSE H.L. 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 湖沼 / 抽水植物 / エレオカリス / 沈水性植物 / 車軸藻 |
Research Abstract |
本研究では、水深や温水期間が異なる場で、抽水植物の形態的特性を調べることで、群落管理や栄養塩除去などに用いる方法を提案することを目的とする。 オーストラリアやニュージーランドに固有なエレオカリスを対象にした。まず、地上部と地下部のバイオマスの比較では、湛水深の深い場所の個体群については、地上部が地下部に比較して大きく、逆に、湛水深の浅いところでは地下部のバイオマスが圧倒的に大きくなっていた。次に、葉茎に花をつける割合は、湛水深の大きい個体群で大きく、小さい場所では小さくなっていた。これらから、湛水深の小さいところでは栄養繁殖が活発になり、逆に大きいところでは種子繁殖の割合が大きくなっていたことが考えられる。 次に、茎の高さは、湛水深が大きい個体群では大きく、小さいところでは小さくなっていた。この理由として、湛水深の大きい個体群では水中の浮力を利用できることをあげている。さらに、植物体内のTNCの濃度は、湛水深の大きい個体群で年間の変動が小さく、小さいところでは大きくなることが示された。 以上より、湛水深の大きい場所では、植物体外を通じた栄養塩循環を、小さい場所では、植物体内での栄養塩の輸送が支配的になることで、環境に適応した生活史を形成していることが示された。さらに、この現象を、ヨシやガマの生長解析に用いられている手法に準じて理論解析を行い、長期における生長特性を再現し、その管理方法について提案した。
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Research Products
(5 results)