2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幾原 雄一 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 時榮 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 転位 / 欠陥 / LiFePO4 / 透過型電子顕微鏡 / 原子・電子構造 / 配列制御 / SrTiO3 / EELS |
Research Abstract |
平成19年度においてはNb添加SrTiO3小傾角粒界に現れる転位近傍組成・ひずみ解析と、Liイオン電池正極材料としての利用が期待されているLiFePO4のアンチサイトFe欠陥の直接観察に関する研究を行った。 具体的には、Nb添加SrTiO3[001]軸10°小傾角粒界を含む双結晶を1873Kにおける熱拡散接合により作製し、双結晶粒界にあらわれる転位の中心と転位-転位間の組成を高分解能STEM-EELS法により分析した。刃状転位においてはextra-halfplaneの存在により非常に大きな応力が負荷されている。そのような状況では格子が歪み、点欠陥の形成エネルギーが変化する。古くから転位中心に酸素欠陥が濃化している可能性が議論されてきたが、転位中心の構造が不明であるためいまだ議論の余地がのこされている.今回は転位と転位の間の擬バルク領域からのEELS測定を行った。同領域はバルクと等価のHAADF-STEM像が観察される。しかしスペクトラムイメージを解析した結果、転位中心よりも多くの酸素欠陥が形成されていることが明らかになった。このことは転位中心だけでなく、転位-転位間の擬バルク領域においても特異な機能が発現することを示唆している、 LiFePO4のアンチサイト欠陥の直接観察に関しては、 高純度LiFePO4ペレットを作成し、球面収差補正を装備した超高分解能STEM(JEM-2100F)を用いて高角度散乱暗視野(HAADF)像を観察した。また、中性子回折実験も行い、Feのアンチサイト欠陥が形成されていることを確認した。LiFePO4はオリビン型構造を有し、[010]方向から投影するとLiカラムを観察することができる。Fe->Liアンチサイト欠陥が及ぼすHAADF像への影響を明らかにするために、アンチサイトFe量に対するHAADF像強度の計算も行った。その結果、アンチサイトFe欠陥が約15%あれば直接観察可能であることが明らかになった。実際にHAADF像を観察した結果、Feアンチサイト欠陥の直接観察に成功した。Feは転位量子デバイスの配線材として利用する元素である。今回の結果から、Feの濃度が15%あれば可視化できることが明らかになった。 以上の研究を通し、転位量子デバイスの原子・電子構造制御、機能制御に重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)