2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子線照射誘起結晶化による金属ガラスのナノ複合材料設計
Project/Area Number |
06F06156
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬越 佑吉 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QIN Wen 大阪大学, 大学院工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 金属ガラス / 金属アモルファス / 電子線照射 / ナノ結晶 / ナノコンポジット / 電子顕微鏡 / 相安定性 / 相転移 |
Research Abstract |
金属ガラス合金系では、ガラス相の安定性が大きく、その結果として「極めて欠陥濃度の高い結晶(Defective crystal)・極めて界面の多い結晶(Nano crystal)」と「ランダム構造相(Glass)」の自由エネルギーが極めて近い状態となる。このような金属ガラス合金に電子線を照射し、電子の弾き出し効果によって格子欠陥あるいは自由体積を材料に導入すると、Defective crystal・Nano crystal・Glass構造を自在に制御した「金属ガラスのナノ複合材料設計」が可能になる。本研究では、電子線照射誘起相変態を利用に、金属ガラス合金の局所領域組織制御を試みた。 本研究により、Zr基合金の電子線照射誘起ナノ結晶化の相選択が、熱誘起結晶化による準結晶形成に大きく依存する事が明らかとなった。すなわち、準結晶を形成しない、Zr-Cu、Zr-Ni、Zr-Al-Cu、Zr-Al-NiおよびZr-Al-Ni-Cu合金系では、単一のf.c.c.固溶体が析出するのに対し、準結晶を形成するZr-PdおよびZr-Ptでは格子定数の異なる二種類のf.c.c.固溶体が析出することが明らかとなった。また、Zr-PdおよびZr-Ptにおける照射誘起結晶化相選択は照射温度に強く依存し、これは準結晶を形成しない合金とは大きく異なっていた。このような準結晶形成合金系の特異性は、混合エンタルピーに大きく依存し、混合のエンタルピーが極めて負に大きい系で特異な挙動を示す事が見出された。
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