2006 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質の非錐体細胞サブタイプ間における化学的・電気的結合の機能的意義
Project/Area Number |
06F06176
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川口 泰雄 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GULLEDGE Allan Thomas 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 大脳皮質 / アセチルコリン / GABA / ムスカリン / ニコチン / 細胞内カルシウム / 錐体細胞 / 介在ニューロン |
Research Abstract |
アセチルコリンは覚醒・認知機能に深く関与する重要な伝達物質であるにも関わらず、多様なサブタイプからなる大脳皮質ニューロンへの作用については、研究グループ間によって大きく異なる考え方が出されてきた。今回、皮質ニューロンタイプへのアセチルコリンの一過性応答を、ラット大脳皮質の脳切片標本で細胞直視下の局所投与法で再検討した。どの皮質領域にいても、ムスカリン受容体を介した過分極は錐体細胞では5層のものに限られ2・3層では見られず、GABA作働性細胞ではCCK陽性の大型バスケット細胞でみられた。しかし、過分極に関わるムスカリン受容体は5層錐体細胞ではm1型であったのに対して、CCKバスケット細胞ではm2型であり、その誘発機構は異なっていた。5層錐体細胞の過分極には、細胞内カルシウムの上昇が必要であった。ニコチン受容体を介した脱分極は、GABA作動性のVIP細胞やニューログリア様細胞でみられた。GABA作働性の介在ニューロンであるFS細胞、ソマトスタチン細胞では、他のグループによる報告とは異なり、一過性応答は殆ど観察できなかった。これらと私たちの以前の持続的投与結果と合わせると、アセチルコリンは皮質下構造に投射する5層錐体細胞を一過性に直接抑制する一方、抑制性ニューロンではニコチン受容体による脱分極・ムスカリン受容体による過分極・ムスカリン受容体による緩徐な持続的脱分極がサブタイプごとに異なる組み合わせで発現し、これらを介して抑制性回路活動を調節していることが明らかになった。
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