2006 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体定位運動におけるシグナル伝達と運動機構の解析
Project/Area Number |
06F06181
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Host Researcher |
和田 正三 基礎生物学研究所, 光情報研究部門, 特任教授
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Foreign Research Fellow |
SAM-GEUN KONG 基礎生物学研究所, 光情報研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | フォトトロピン / phot / シロイヌナズナ / 葉緑体定位運動 / 光屈性 / シグナル伝達 / kinase / 蛋白質構造 |
Research Abstract |
葉緑体は弱い光に対して集まる集合反応と、強い光から逃げる逃避反応の二つの様式の葉緑体光定位運動を示す。本年度は葉緑体光定位運動におけるフォトトロピンの信号伝達機構を解明するための一段階として、フォトトロピンと相互作用する因子の単離を目指して研究を進め、以下の結果が得られた。 1.phot2と相互作用する因子の同定 phot2免疫沈降実験のために、phot2-タグの融合タンパク質形質転換体とphot2抗体カラムを確立した。シロイヌナズナの葉の細胞膜分画を可溶化してゲルろ過を行った結果、phot2は500kDa以上の複合体として存在し、さらにphot2と相互作用する因子をphot2免疫沈降実験とLC-MS分析で同定した。現在、それらの因子がphot2と特異的に結合するか、またphot2の生理反応に実際に関わっているのかを調べている。 2.phot2の構造解析 上記の結果からphot2は四量体として細胞内で機能する可能性が示唆された。そこで、大腸菌の発現系を用いてphot2のN末端、さらにLOV1ドメイン側がphot2四量体形成に十分であることを明らかにした。Phot2の四量体形成に重要と思われるアミノ酸にpoint mutationを導入して一過的発現系を用いて生理反応を調べた結果、その部位が生理反応にち関わっている可能性が示唆された。現在、phot2の四量体形成に重要なアミノ酸とドメインに突然変異を導入した形質転換植物を作成し、phot2の構造と機能の関わりを調べている。 3.phot2信号伝達機構の分子遺伝学的解析 phot2-GFP形質転換体の種子(6,000粒)をEMS変異原で処理し、そのM2の種子から青色光(32μmol/m^<-1>s^<-1>)による光屈性を示さない変異体を単離し、phot2応答に関わる欠損変異体を選抜した。現時点ではその原因遺伝子の同定を目指して実験を進めている
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