2007 Fiscal Year Annual Research Report
新発見の多価ホルモン受容体の構造と機能及び生理学的意義の解明
Project/Area Number |
06F06183
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
広瀬 茂久 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAG Kakon 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | カルシトニン受容体 / アドレノメデュリン / アミリン / CGRP / RAMP / エンドセリン / フグ / 赤血球 |
Research Abstract |
ペプチドホルモンであるカルシトニンの受容体に関する比較内分泌的研究の過程で見出したホルモン結合領域を4箇所も有するフグのカルシトニン受容体に関する研究を完成させ論文にする傍ら,カルシトニン受容体と類似したアドレノメデュリン受容体や作用の面で対照的なエンドセリン受容体に関する研究も進め,以下の成果を得た。(1)魚類のカルシトニンはヒトのカルシトニン受容体に結合するが,ヒトのカルシトニンはフグの受容体に結合しないことを見いだした。ホルモン結合ドメインの保存配列が魚類と哺乳類では一部違っており,そこに結合すると推定されるリガンド側のアミノ酸配列も電荷的にプラスとマイナスが逆になっていることが分かった。(2)肝臓ではホルモン結合ドメインを1つも持たない特殊なスプライスアイソフォームが高発現していることを見つけ,さらにこの分子が細胞中でドミナントネガティブ(dominant negative)体として働いて,cAMPの合成を阻害することを見出した。カルシトニンは魚類で最初に同定されたが,魚類における受容体の解析は遅れ,今回の私たちの仕事が最初の論文となった。また肝臓におけるドミナントネガティブ体の存在はペプチドホルモンのシグナル伝達の新たな制御の概念を提唱するものであり,今後の研究の発展が期待される。(3)赤血球のエンドセリン受容体の役割:フグのエンドセリン受容体に関する研究をとおして,フグのような魚類の有核赤血球には,多数のエンドセリン受容体が発現しており,血中のエンドセリン濃度に応答して,赤血球内でカルシウムシグナル系が活性化されるという興味深い現象を見つけた。有核赤血球の生理的意義の解明につながると期待される。
|
Research Products
(2 results)