2007 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体比解析による沿岸域生態系の健全性の定義に関する研究
Project/Area Number |
06F06190
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大森 浩二 Ehime University, 沿岸環境科学研究センター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TODD W.Miller 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 沿岸生態系 / 安定同位体解析 / 生態系の健全性 |
Research Abstract |
各灘沿岸域生態系の一次生産構造特性把握のための安定同位体比解析を行う地点を総計20点選択した。その結果、瀬戸内海の豊後水道、伊予灘、周防灘、広島湾、安芸灘、燧灘、備讃瀬戸、播磨灘、大阪湾の9つの灘において、窒素の安定同位体比については、西から中央部にかけて徐々に大きな値となり(重くなり)、中央部から大阪湾にかけて重い値で安定している。一方、炭素同位体比は逆に、西側が重く、中央部で軽くなり(小さくなり)、大阪湾へかけて東に行くに従い、再び重くなっていた。また、POMについては、窒素の安定同位体比について、西から中央部にかけて徐々に重くなり、中央部から大阪湾にかけて、動物プランクトンよりは重い値で安定している。一方、炭素同位体比も同様に、西側が重く、中央部で軽くなり、大阪湾へかけて東に行くに従い軽い値のまま安定している。陸域からの流入は、備讃瀬戸、播磨灘、大阪湾に集中している。更に、大阪湾では高いクロロフィルa量が見られた。これらのことから、POM、動物プランクトンの安定同位体比のデータを解析すると、窒素同位体比については、瀬戸内海中央部から東側の大阪湾にかけて、同位体比が重い方に偏っていることから、排水を多く含む陸域からの窒素源流入の影響を推測することができる。西側に関しては、その軽い同位体比から、豊後水道を経由した外洋水由来の影栄養塩類流入の影響が推測される。しかし、POMの炭素同位体比は、瀬戸内海中央部から東側の大阪湾にかけて、同位体比が重い方に偏っていることから、陸上植物など陸域の生産物の影響は少ないと考えられる。また、クロロフィルa濃度から高い一次生産速度が推定されることから、二酸化炭素の濃度が低下し、同位対比が重い方へ変化したとも考えられる。
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Research Products
(5 results)