2006 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科自家不和合性花粉因子SP11の発現抑制によるS対立遺伝子の優劣性制御
Project/Area Number |
06F06191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 正夫 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARK J-I 東北大学, 大学院生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アブラナ科植物 / 自家不和合性 / 優劣性発現 / RNAi / 遺伝子破壊 / 転写調節 / 花粉因子 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
アブラナ科植物B. campestris(syn. rapa)の自家不和合性は、1遺伝子座S複対立遺伝子系によって制御されており、8遺伝子の表現型が雌雄で一致したとき、自己花粉が拒絶され、受精に至らない。この現象は、胞子体的に制御されることから、S対立遺伝子間に優劣性が存在する。花粉側の優劣性は、花粉因子SP11によって決定されているが、その分子機構は明らかになっていない。そこで、本研究では優劣性の異なるヘテロ個体において、優性のSP11の発現抑制を行った場合に、優劣性発現がどのようになるかと言うことを調査することで、優劣性発現機構を明らかにすることを目的とする。 今年度は、おそめ(S52>S60)の系統に対して、S52-SP11のRNAiコンストラクトを導入した。現在、遺伝子導入個体からシュートを得て、次年度には開花、表現型観察ができるところまで達成した。 また、遺伝子発現調節に関する別角度からの可能性として、RNA結合タンパク質による転写後の翻訳調節を検討した。シロイヌナズナRNA結合タンパク質をコードしたAtRBP45は、シロイヌナズナゲノム中に3コピー存在し、そのうちの2つが葯・タペート細胞、花粉特異的な発現パターンを示した。SP11の発現は、タペート特異的であることから、今後、この遺伝子の機能破壊系統の表現型を調査することで、タペート細胞、花粉での遺伝子機能が明らかになり、優劣性発現にも新たな進展をみることが期待された。
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