2007 Fiscal Year Annual Research Report
核細胞質ヘテロシスの育種利用に向けた核細胞質ゲノム間相互作用の解析
Project/Area Number |
06F06193
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 千春 Kobe University, 農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SINIAUSKAYA Marina G 神戸大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ミトコンドリア / 葉緑体 / 遺伝子発現 / NC相互作用 / コムギ |
Research Abstract |
核細胞質ヘテロシス、すなわち核ゲノムと細胞質ゲノム間の雑種強勢の育種利用に向けて、オオムギとパンコムギ間の人為遠縁交雑種を対象に、戻し交配と自殖を通じた核細胞質雑種の成立過程で見られる核ゲノムと細胞質ゲノム間の相互作用を解析し、両ゲノム間の親和性を支配するオルガネラ遺伝子座を明らかにすることを目的として以下の研究を行った。 1)葉緑体マクロアレイの作成とこれを利用したパンコムギ種子発芽過程のオルガネラバイオジェネシスの解析:パンコムギ品種チャイニーズスプリングを材料に葉緑体ゲノムからタンパク質をコードする全遺伝子と葉緑体ヘタンパク質が運搬される複数の核コードの遺伝子をブロットした葉緑体マクロアレイを作成し、正常条件下における種子発芽過程を追って、葉緑体に蓄積する葉緑体転写産物のプロファイルを解析した。さらに、暗黒下で育てた黄化幼苗を光のもとに移した後、緑化過程で見られる葉緑体転写産物の蓄積量変化を時間経過とともに解析した。 2)オオムギ/パンコムギ間核細胞質雑種のオルガネラゲノム構造と遺伝子発現の解析:オオムギを母親にパンコムギを父親にして作成したオオムギ/パンコムギ間核細胞質雑種の後代 (BC1F7)から得た雄性不稔系統と稔性系統を対象に、葉緑体ゲノムとミトコンドリアゲノムの構造解析を行った。雄性不稔(かつ生育弱性)系統では葉緑体ゲノムは調査した全領域で母親由来のホモプラズミーであったのに対して、稔性系統では葉緑体ゲノム及びミトコンドリアゲノムがともに母親、父親由来の領域をもつヘテロプラズミー状態にあることが明らかとなり、オルガネラゲノムの不正伝達が示された。現在、エディティングの状況を解析するとともに、葉緑体及びミトコンドリア遺伝子を網羅したオルガネラマクロアレイを用いて、オルガネラ遺伝子の発現を解析中である。
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