2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒマラヤ固有種であるウバユリ属植物の種子発芽と種子の貯蔵
Project/Area Number |
06F06195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 哲也 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PHARTYAL SINGH SHYAM 北海道大学, 大学院農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | Cardiorinum giganteum / オオウバユリ / 生育地 / 種子生産量 / 胚成長 / 発芽 / 貯蔵 |
Research Abstract |
1.種子の採取と生育地での温度データロガーの設置:2006年10月下旬にUttaranchal州,ヒマラヤでCardiocrinum giganteum(以下,便宜的にオオウバユリと呼ぶ。)が約10個体生育しているのを確認した。ここで,種子生産量を調査するために10個の果実を採取した。しかしオオウバユリの朔果はまだ青く充分に成熟していなかった。村人に成熟した時期に種子を採取して日本に送るように依頼した。生育地の土壌表面と土中5cmの温度を測定するために,データロガーを設置した。個体当りの朔果数は7.40±1.80,朔果当たりの種子数は535.4±92.6,個体当りの種子生産量は4027±1501,千粒重は11.94±1.44gであった。 2.野外での発芽フェノロジー:インドの植物遺伝資源局に許可を得た後,2006年12月中旬に成熟した果実から採取された種子が到着した。種子の到着直後では,胚は十分に大きくなっておらず,胚長は0.78±0.13mm,種子長は6.38±0.24mmあり,胚長は種子長の約12%であった。野外での胚成長の過程を調査するために。2006年12月に種子を育苗箱に埋土した。60日後に種子を堀りあげて胚長を調査したところ,0.94±0.1mmとわずかに生長していた。 同じ日に,発根過程を調査するために,不織布に包んだ種子を育苗箱に埋土した。また,出芽の過程を調査するために,植木鉢に種子を約1cmの覆土で播種した。育苗箱および植木鉢の表面の温度をデータロガーで記録している。 3.室内での発芽実験:野外での胚成長から出芽までのフェノロジーが,どのような温度条件によって引き起こされるのかを明らかにするために,12月に恒温器を用いて様々な温度条件のもとでシャーレを用いた発芽実験を行っている。播種後から種子が発根するまでには早くとも8ヶ月を必要とすると思われるため,現在定期的に観察して水分の補給を行っている。 4.種子の貯蔵実験:オオウバユリを自生地以外の場所で保存することと,積極的な増殖を想定して,種子の貯蔵方法を明らかにする。様々な方法で貯蔵した後,1年経過後の種子の生存率を調査するために,12月に種子をいくつかの方法で貯蔵している。
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