2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒマラヤ固有種であるウバユリ属植物の種子発芽と種子の貯蔵
Project/Area Number |
06F06195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 哲也 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PHARTYAL SINGH SHYAM 北海道大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | Cardiocrinum giganteum / オオウバユリ / 胚成長 / 発根フェノロジー / 発芽フェノロジー / 種子貯蔵 |
Research Abstract |
・野外におけるCardiocrinum giganteumの胚成長と発芽フェノロジー 2006年12月に野外のフレームハウス内に種子を埋土し,定期的に堀りあげて胚成長と発芽状況を観察した。C.giganteumの種子は種子が散布される時期には未発達の胚を持ち,完全に伸長した胚長の約10%であった。秋に散布された胚は,1回目の冬を経た翌年の秋まで伸長しなかったが,秋に急速に伸長して積雪期の冬までには,完全に伸長した胚長の97.7%にまで達した。すなわち,胚が完全に伸長するまでには,種子の散布から15ケ月を要したことになる。 ・室内実験での発根,出芽実験 室内実験では,胚の生長,発根,子葉の出現(出芽)に必要な温度条件を明らかにするために,恒温器を用いて様々な温度条件を与える発芽実験を行った。胚は,25/15℃(120日)→15/5℃(90日)→0℃(90日)→15/5℃(60日)の温度推移において,150日目から急速に伸長し,270日目(約9ケ月)には,伸長が完了した。この温度推移において,胚が完全に伸長した種子は0℃と2回目の15/5℃で幼根を出現させた。発根から約17日後に子葉が出現した。 以上のことより,C.giganteumの種子は,胚成長,発根,そして子葉の出現に際して複雑な温度条件を必要とするmorpho-physiological dormancy(MPD)を持つことが明らかとなった。 ・種子の貯蔵実験 採取直後に-20℃または5℃の低温で6ケ月間貯蔵しておいた種子は,25/15℃(120日)→15/5℃(90日)→0℃(90日)の温度条件で,80%の種子の胚が生長した。すなわち80%の種子は活性を維持していた。しかしながら,室温あるいは25℃で貯蔵しておいた種子は40%以下が活性を保持していたにすぎなかった。
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