2006 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽性担子菌の生産する菌体外代謝物セリポリック酸Bの機能研究
Project/Area Number |
06F06211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 隆司 京都大学, 生存圏研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AMIRTA Rudianto 京都大学, 生存圏研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | リグニン / 白色腐朽菌 / 代謝物 / ラジカル |
Research Abstract |
白色腐朽性担子菌Ceriporiopsis subvermisporaの生産する菌体外代謝物であるセリポリック酸B(ヘキサデシルイタコン酸)のリグニン分解促進効果について検討した。セリポリック酸Bおよび非フェノール性β-O-4型リグニンモデル化合物を合成し、この化合物の酵素的酸化分解に対して、セリポリック酸Bが分解促進効果をもつか否かをGCMSを用いて分析したところ、ある特定の条件で、同代謝物がβ-O-4型リグニンモデル化合物の分解を促進することを明らかにした。この現象を解析するため、セリポリック酸Bとリグニンモデル化合物の相互作用をNMRを用いて分析した。その結果、分解促進効果が見られた反応系においてNMRスペクトルの変化が見られた。このため、分子軌道法を用いて分子間の相互作用を解析し、NMRの分析結果に対する考察を加えた。詳しい反応機構に関して、H19年度に引き続き解析する予定にしている。 また、セリポリック酸Bのリグニン分解に対する影響については、酵素反応系以外に、ラジカルによる非フェノール性β-O-4型リグニンモデル化合物の分解に対する影響を分析した。これまでの実験で、ラジカルによるリグニンモデル化合物の分解においても、同代謝物が分解を促進する反応系があることを見出した。さらに詳しい促進効果をH19年度に解析する予定にしている。白色腐朽性担子菌Ceriporiopsis subvermisporaの生産する菌体外代謝物であるセリポリック酸Bは、フェントン反応によるヒドロキシルラジカルの生成抑制作用をもつことをすでに明らかにしているが、同代謝物は、リグニン分解の調節作用ももつことを明らかにした。
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