2006 Fiscal Year Annual Research Report
ボルネオ産海綿およびそれらの共生・共存微生物からの生物活性物質の探索
Project/Area Number |
06F06215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VAIRAPPAN Charles Santhanaraju 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | マレーシア / サバ州 / 海綿 / 抗カビ性 / トリテルペン / 配糖体 |
Research Abstract |
マレーシア、サバ州沿岸で採取した海綿Melophlus sarassinorumの粗抽出物に顕著な抗カビ性が認められたので、その活性成分の単離・構造決定を試みた。海綿の抽出物を溶媒分画に付しそれぞれの画分の活性を調べたら、ブタノール画分に活性が認められた。そこで、これを逆相フラッシュクロマトグラフィーに付し、水メタノールの混合溶媒のメタノール含量を増加させながら溶出した。メタノール含量が90%の画分が収量が多く活性も強かったので、これを含水メタノールを移動層とするODS液体クロマトグラフィーにより精製した。多数のピークが得られたので、全てを分取し、マススペクトルおよび核磁気共鳴により成分組成を調べた。マススペクトルデータから、主要成分は同種海綿からすでに構造決定が行われているサラシノサイド類と命名された、トリテルペン配糖体であることが予想され、核磁気共鳴スペクトルもそのことを支持した。既知のサラシノサイドと分子量が同一で、液体クロマトグラフィーの溶出時間が異なる化合物がいくつか単離され、これらは新規化合物であるものと考えている。また、マススペクトルの分子イオンピークの質量数から既知のサラシノサイド類とは、含まれるアミノ糖の数が異なる化合物も見いだされている。現在までに単離されたサラシノサイド類において、アミノ糖の数は全て同一であるため、本研究において、サラシノサイド類の分子多様性の広がりが示された。各化合物の詳細な構造解析は現在進行中である。
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