2006 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地における灌漑農地の二次的塩類集積による土地劣化の広域対処に関する総合的研究
Project/Area Number |
06F06216
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
北村 義信 鳥取大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MESGINA S.H 鳥取大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 塩類集積 / 塩性化 / ソーダ質化 / 塩害対策 / 地下水管理 / 広域水管理 / 灌漑農業 / 土壌管理 |
Research Abstract |
本研究は、黄土高原下流域の洛恵渠灌区洛東地区(32,000ha)において実施することとした。 本地区は、綿花栽培を目的に72年前に灌漑整備された地区であるが、灌漑の開始以来、絶えず塩類集積に悩まされてきた。そのため、塩類集積の防止と塩性化した農地の修復に主眼をおいた対策が強く求められてきた。本研究では、対象地区の塩性化・ソーダ質化の状況を分析し、土壌劣化に対する適切な対策を開発し、提案することにある。本年度における研究実績の概要は、以下のとおりである。 対象地域の観測井80点の地下水挙動を継続してモニタリングし、地下水位、電気伝導度(EC)、各イオン濃度、観測井周辺土壌の飽和抽出液のEC等に関するデータを分析した。その結果、以下の点が明らかになった。(1)対象地域の地下水のイオン分析の結果、対象地域の地下水組成はNa_2SO_4/NaCl型およびNaHCO_3型と判断された。(2)これらの地下水を灌漑水として使用する際には、次の危惧点があることが明らかとなった。(a)地下水位が高い(地下水面が地表に近い)場合、地下水はECが高く、土壌の塩性化の危険性を持つ。(b)地下水位が低い(地下水面が地表から遠い)場合、地下水のECは低いが、HCO_3^-の割合が大きく残留炭酸ナトリウム(RSC)が高い傾向を有し、土壌のアルカリ性化が危惧される。(c)陽イオンの主体がNa^+であり、全体的にナトリウム吸着比(SAR)が高いため、土壌のソーダ質化の危険性を持つ。(3)黄土高原からの流出土砂を塩害農地の修復に活用する技術(流水客土)の効果を、流水客土実施後数年の圃場において物理化学的に評価した。(4)対象地域に存在する地下水質についてクラスター分析を行い、EC値とSAR値をベースに4グループに類型化した。また、各クラスターグループの空間分布を分析した。
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