2008 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地における灌漑農地の二次的塩類集積による土地劣化の広域対処に関する総合的研究
Project/Area Number |
06F06216
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
北村 義信 Tottori University, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MESGINA S H 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 塩類集積 / 塩性化 / ソーダ質化 / 塩害対策 / 地下水管理 / 広域水管理 / 灌漑農業 / 土壌管理 |
Research Abstract |
乾燥地域で宿命的な二次的塩類集積(ソーダ質化も含む)問題の解決には、その形成プロセスの解明と、それを防ぐための綿密で精緻な水管理システムの構築が不可欠である。このような背景を踏まえて、塩類集積を回避し持続可能な農業を展開していく上で必要な水管理面での要件を明らかにすることを目的とした。 本研究では、モデル地域として、中国内陸部の黄土高原地域の最下流部に位置する洛恵渠灌区を対象とした。対象地区内に散在する井戸約70井の水位観測、水質観測、圃場土壌の塩類濃度等の定期的(一部は連続的)観測から得られる直接計測データに、衛星画像など隔測データを活用して、二次的塩類集積の危険度を面的に評価する指標を開発するとともに、在地の技術・知識にも着目し、流域内の地形連鎖・物質循環機能を活用して、劣化農地を修復する技術の発掘と改良にも焦点を当てた。 研究実施の概要は、以下のとおりである。 (1)洛恵渠灌区を対象にした研究成果をベースに、沙漠研究のVol.18,No.4(2009.3)に「中国・洛恵渠灌区における農地の塩類化とその対策の効果に関する考察」と題して、論文を発表した。 (2)洛恵渠灌区を対象に、灌漑による涵養過程を組み込んだ分布型の二次元不圧地下水流動モデルを構築した。これを用いて数値実験を行い、潅漑による地下水挙動の評価を行った。このモデルでは、農地・水利用に関する実態データを基に、灌漑スケジュールと地下水揚水利用の実状をモデルに反映させることにより、より高精度での解析が可能である。 (3)二次的塩類集積の危険度を面的に評価する指標を開発し、提案した。 (4)塩類集積農地の改良法として現地で行われている「流水客土」法は黄土高原からの流下侵食土砂を圃場に送流し、客土する方法で、流域の物質循環系を活用した効果の高い改良法であることが分かった。
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Research Products
(4 results)