2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗生物質に対して病原性原虫や卵菌遊走子が示す形態生理的ストレス応答研究
Project/Area Number |
06F06226
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鍋田 憲助 Hokkaido University, 大学院・費学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEORA Abhinandan 北海道大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | F-アクチン / 形態形成 / Aphanomyces cochlioides / アクチンプラーク / latrunculin B |
Research Abstract |
形態変化を伴う真核生物病原体、特に卵菌について、ローダミン-ファロイジン蛍光染色によって刺激応答系に連動するF-アクチン分子の定性・定量的解析を試みた。物理的刺激でAphanomycescochlioides遊走子から生じた被のう胞子状の休眠細胞は、時間の経過と共に再度遊走子の再生を観察することができる。この胞子状細胞の形成時にF-アクチン重合を阻害する抗生物質として知られるlatrunculin Bを極低濃度(0.1〜0.02μgm1^<-1>)で曝露させておき、同様に遊走子への再生を見たところ、0.02μgmrl^<-1>という極低濃度で処理した場合でも休眠胞子からの遊走子再生は50%近く抑制され、0.1μgml^<-1>ではほとんどゼロであった。 繊維状のアクチンフィラメントは遊走子の状態ではほとんど観察されず、F-アクチン分子が完全な脱重合体で存在することが示された。一方、遊走子が被のう化する過程でアクチンプラークと呼ばれる球状のアクチン集合体が細胞膜内膜に沿うように、ほぼ等間隔で出現した。この構造体のかご状の配置から、アクチンプラークは細胞の形を造り上げる細胞骨格形成に重要な役割を担うことが示唆された。物理的刺激により被のう胞子状態になった細胞が再度遊走子に再生する過程では、繊維状のアクチンフィラメント集合体が急激に出現し、被のう化した殻から細胞本体が抜け出るための駆動力になっていると理解された。類似の現象が菌糸の先端ならびに二次分岐の開始部位にも認められた。アクチン分子は、遊走子あるいは胞子発芽時の非栄養増殖ステージではその絶対量は常に一定で、既存の蛋白分子を使い廻していると結論した。これらの重要な結果は、2報の海外学術雑誌に投稿、掲載され、現在、もう一報Phytopathology誌に投稿したものが審査中である。
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Research Products
(7 results)