2006 Fiscal Year Annual Research Report
先端液体クロマトグラフィ-固相抽出法-NMR技術を用いた薬理活性化合物の探索
Project/Area Number |
06F06232
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
浅川 義範 徳島文理大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAETZ Christian 徳島文理大学, 薬学部, 外人特別研究員
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Keywords | HPLC / SPE / NMR / 薬理活性 / 冬虫夏草 / コルデイセピン / アデノシン / 核内受容体拮抗活性 / ビスビベンジル類 / 蘇苔類 |
Research Abstract |
高速液体クロマトグラフと固相抽出カートリッジを直結したNMR(HPLC/SPE/NMR)を用いて本研究を実施した。また700MHzNMRを用いた化学構造分析も同時に行った。冬虫夏草(Cordycepssinensis)に含まれる含窒素化合物、cordycepinは疲労回復、免疫増強物質として知られシグマ社より576.36$/mgで市販され、極めて高価な薬物である。虫体からでなく、その培養液からcordycepinやより高活性名薬物を得る目的で培養液20リトルを酢酸エチル、ブタノール、水抽出物に分離した。3抽出物にはアデノシンが含まれ、これがミトコンドリアを活性化させ疲労回復などに役立っていると推定された。また酢酸エチル部の主成分としてキノコ臭を呈する5,6-dihydor-4-methyl-2H-pyran-2-oneが単離されたがcordycepin類は全く得られなかった。抗酸化活性を示す高等植物Erythrina crista-galliおよびタヒチ産Rauwolfia属植物および子宮収縮活性を有するボイセンベリーの活性物質探索を行い、E.crista-galliからcrystamidine,8-oxoerythraline, erythrinan-11-ol, Rauwolfiaからajimalin類が得られた。ボイセンベリーはフラボン配糖体が多種含有する。苔類の大環状ビスビベンジルは核内受容体拮抗薬として有望され、各国でそれらの合成が活発に行われている。ビスビベンジルのひとつmarchantin Aは筋肉弛緩、抗がん活性などさまざまな活性を示す。本物質を化学変換してより活性の強いmarchantin類や、核内受容体拮抗薬創生を目的に本物質を三酢酸マンガンで反応させ、marchantin Aの二量体、三量体などの生成について検討した。HPLC/SPE/NMR分析から生成物は極めて複雑な混合物からなり、現在LC/MSも併用して化学構造を確認している。またクロロフォルム中で1ヶ月放置すると、marchantin Aは速やかに多量体に変化することがわかり、その生成物組成も合わせて上記装置で探索している。これまで当研究室では苔類の生理活性成分の研究を30年間行い、400報以上の論文を発表しているが、そのほとんどは脂溶性成分に関するものである。最近蘇類のスギゴケ類、オオカサゴケなどの水溶性物質に抗腹水癌、抗アルツハイマー、強心活性があることが明らかになった。これらの含水メタノール抽出物はイワシなどに含まれる高度不飽和脂肪酸を多量に含むことから、これらが活性の本体であると推定しているが各成分組成は上記装置で分析中である。今回得られた成果について、論文を執筆中である。
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