2006 Fiscal Year Annual Research Report
病原細菌の薬剤耐性遺伝子の水平伝播における可動性遺伝因子の役割
Project/Area Number |
06F06243
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島本 整 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHMED Ashraf Mohamed 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Proteus mirabilis / 多剤耐性 / Salmonella genomic island 1 / インテグロン |
Research Abstract |
近年,抗生物質などの抗菌剤に耐性を示す薬剤耐性菌が増加しており,医療現場で大きな問題となっている。本研究は,薬剤耐性遺伝子がインテグロンやトランスポゾンなどの可動性遺伝因子によって運ばれ伝播していくメカニズムやそれによって病原細菌が進化するメカニズムを明らかにすることを目的としている。 本研究では,パレスチナ(イスラエル)で糖尿病患者より分離された多剤耐性のProteus mirabilisの薬剤耐性化機構の解析を行った。この多剤耐性P.mirabilisは,多剤耐性Salmonella DT104と同じ耐性パターンを示したことから,Salmonella genomic island 1(SGI1)を保有しているのではないかと考えられた。そこで,クラス1インテグロンの検出を行ったところ,SGI1と共通のβ-lactamase遺伝子bla_<PSE-1>に加えてトリメトプリム耐性を付与するdfrA15遺伝子がSGI1のストレプトマイシン・スペクチノマイシン耐性を付与するaadA2遺伝子と置換していることがわかった。その他の領域は,SGI1と同じ遺伝子領域が保存されていたことから,このP.mirabilisはSGI1の亜型を含む多剤耐性株であることが明らかになった。このSGI1は,Salmonella以外で見つかった初めてのSGI1である。また,このSGI1は,容易に環状化して染色体DNAから抜け出すことが明らかになったことから,環状化したSGI1が異種細菌間を伝播し,多剤耐性化が広がっていくのではないかと考えられた。
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Research Products
(2 results)