2007 Fiscal Year Annual Research Report
病原細菌の薬剤耐性遺伝子の水平伝播における可動性遺伝因子の役割
Project/Area Number |
06F06243
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島本 整 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHMED Ashraf Mohamed 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 多剤耐性 / インテグロン / プラスミド / β-ラクタマーゼ |
Research Abstract |
近年,抗生物質などの抗菌剤に耐性を示す薬剤耐性菌が増加しており,医療現場で大きな問題となっている。本研究は,薬剤耐性遺伝子がインテグロンやトランスポゾンなどの可動性遺伝因子によって運ばれ伝播していくメカニズムやそれによって病原細菌が進化するメカニズムを明らかにすることを目的としている。 今年度の研究では,広島市安佐動物公園の動物より単離したグラム陰性細菌の中から薬剤耐性菌の同定と耐性化機構の解析を行った。232株の分離株の中で49株が多剤耐性株であり,これらの菌株からインテグロン(クラス1,クラス2),β-ラクタマーゼ遺伝子,プラスミド性キノロン耐性遺伝子(qur, aac(6')-Ib-cr)などの種々の薬剤耐性遺伝子が検出された。aac(6')-Ib-crの検出は,おそらく日本で初めてであると考えられる。また,カケスより単離したKlebsiella oxytocaが新たなAmpCタイプのβ-ラクタマーゼであるCMY-26を保有していることを明らかにした。 また,その他の研究として,パレスチナの入院患者より単離した細菌や食肉,水産食品由来の細菌の薬剤耐性化機構の解析も行った。特に食品に由来する細菌より種々の薬剤耐性遺伝子を検出したことは,食品が薬剤耐性遺伝子の潜在的なリザーバーとして公衆衛生上のリスクを持っていることを明らかにしており,興味深い。
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Research Products
(2 results)