2007 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌O157におけるプロファージとプロファージ様エレメントの誘発と水平伝達
Project/Area Number |
06F06244
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
林 哲也 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ASADULGHANI 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 大腸菌0157 / プロファージ / 遺伝子水平伝達 / DNAマイクロアレイ / Stxファージ / プロファージ間相互作用 / リアルタイム定量PCR |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌O157Sakai株が保有する18種類のプロファージに関して、以下の解析を行った。 1)大腸菌O157堺株が保有する18種類のプロファージのゲノム配列の詳細な再解析 2)誘発可能なファージ検出のためのマイクロアレイ解析 3)染色体から切り出されたファージゲノムのPCRによる検出 4)リアルタイム定量PCRによる細胞内及びファージ粒子内に存在するファージゲノムDNAの定量 5)染色体から切り出されてファージ粒子内にパッケージされると考えられたプロファージへのCp耐性遺伝子の挿入 6)Cp耐性遺伝子を付加したプロファージの大腸菌K-12株への伝達能の解析 以上の解析の結果、明らかな構造的欠陥を有する複数のプロファージが、ゲノムからの切り出し、複製、ファージ粒子内へのパッケージング能を有することが明らかとなった。さらに、少なくとも3種類のプロファージがK-12株に伝達されることも明らかになった。この予想外の結果は、細菌のゲノム上にしばしば存在するdefectiveなプロファージがただの残骸でなく、潜在的な水平伝達能力を持つことを初めて示したものである。同時に、この結果はゲノム上に複数存在するdefectiveなプロファージ間で、遺伝子産物のin transでの供給など、様々な相互作用があることを示すものである。さらに、これらの解析の中で、O157のStx1ファージであるSp15とStx2ファージであるSp5との間で、高頻度の組換えが生じ、新しいStx2ファージが生じることを明らかにし、その組換え部を特定した。また、大腸菌O157の病原性発現を制御すると予想される新規の調節遺伝子や、これまで報告されていない全く新しいタイプのファージの複製タンパク質と発現調節タンパク質を発見した。今後、さらに詳細な解析を行う必要があるが、いずれも重要な発見である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Extensive genomic diversity and selective conservation of virulence-determinants in enterohaemorrhagic Escherichia coli strains of O157 andnon-O157 serotypes.2007
Author(s)
Ogura Y., Ooka T., Asadulghani., Terajima J., Nougayrede J-P., Kurokawa K., Tashiro K., Tobe T., Nakayama K., Kuhara S., Oswald E., Watanabe H. and Hayashi T.
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Journal Title
Genome Biol 8(7)
Pages: R138
Peer Reviewed
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[Presentation] Lateral transfer of virulence or related genes by defective prophages of Sakai prophage pool2008
Author(s)
Asadulghani, Ogura, Y., Nakayama, K., Iguchi, A., Ooka, T., and Hayashi, T.
Organizer
籍81回日本細菌学会総会
Place of Presentation
京都市
Year and Date
20080324-26
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[Presentation] 腸管出血性大腸菌(O26,O111,O103)の全ゲノム解析.2008
Author(s)
小椋義俊, 大岡唯祐, 山下敦Asadulghani, 井口純, 黒川顕安倍裕順, 戸邊亨, 児玉年央寺嶋淳, 中山恵介, 渡部治雄服部正平, 林哲也
Organizer
第2回日本ゲノム微生物学会年会
Place of Presentation
大阪府吹田市
Year and Date
20080306-08
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[Presentation] A genome-wide survey on phage induction and propagation revealed defective prophages spread virulence determinants from Sakai prophage pool2008
Author(s)
Asadulghani, Ogura, Y., Nakayama, K., Iguchi, A., Ooka, T., and Hayashi, T.
Organizer
第2回日本ゲノム微生物学会年会
Place of Presentation
大阪府吹田市
Year and Date
20080306-08
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