2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトB型肝炎ウイルスの感染機構の解析と創薬への応用
Project/Area Number |
06F06245
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
星野 洪郎 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAHA Manujendra Narayan 群馬大学, 大学院医学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | B型肝炎ウイルス / pseudotype virus / 感染価 / green fluorescent protein / モノクローナル抗体 / HBs抗体 / 肝臓がん細胞株 |
Research Abstract |
我々は、ヒトB型肝炎ウイルス(human hepatitis B virus : HBV)の表現型混合ウイルス(pseudotype virus)の作成に成功した。このpseudotypeは、HBVの外被の表面抗原(HBs)のHBs/S, HBs/M, HBs/Lを293T細胞に発現させ、green fluorescent protein(GFP)遺伝子を持つvesicular stomatitis virus(VSV)、すなわちVSVΔG^*-Gを感染させ作成した。このpseudotypeに感受性の細胞は、主に肝臓がん由来の細胞であるが、ウイルスの感染価は余り高くなかったので、標的細胞を薬剤処理し感染価を高められないか検討した。多くの薬剤について検討したが、レチノイン酸あるいはtransforming growth factorβ(TGFβ)で処理すると細胞の感受性が高められた。一方、標的細胞をpolybrene、poly-L-lysine、dithiothreitolで処理すると感受性が低下した。すなわち、細胞表面の電荷を変化させたり、細胞表面のタンパク質のS-S結合を切断するとウイルスの感染が起こりにくくなった。また、polyethylene glycol(PEG)で処理すると感染価が高くなった。 次に遺伝子工学的方法でHBs抗原を発現させた細胞を用いるのではなく、自然にHBs抗原を発現している細胞を用いてもpseudotypeが形成出来るか検討した。HBs抗原を発現している細胞としては、Alexander細胞、JHH-7細胞、JHH-4細胞、HepG2-2-15細胞などを用い検討した。JHH-7細胞を用いるとpseudotypeウイルスのtiterが最も高く、JHH-4細胞ではpseudotype活性が検出できなかった。VSVΔG^*(JHH-7)のpseudotypeウイルスは、VSVΔG^*(HBs)のpseudotypeと同様にHepG2細胞などに最もよく感染した。また、このpseudotypeウイルスは、HBsを発現している細胞にも感染したので、HBsについては、viral interferenceが成立しない可能性が示唆された。VSVΔG^*(JHH-7)の感染は、HBsに対するモノクローナル抗体やHBIG(HBsに対するヒトの精製抗体で母子感染の予防などのために使われている)でよく中和された。
|
Research Products
(3 results)