2007 Fiscal Year Annual Research Report
TCRから細胞死にいたる信号伝達におけるG5PRの蛋白質脱リン酸化制御の研究
Project/Area Number |
06F06247
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阪口 薫雄 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XING Yan 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 国際研究者交流 / T細胞の分化、成熟 / アポトーシス / 蛋白質脱リン酸化酵素 / 信号伝達 |
Research Abstract |
G5PR遺伝子を胸腺細胞から欠損させると、そのマウスでは胸腺の形成が著しく障害された。その障害は胸腺細胞の初期分化過程でCD4/CD8ダブルネガテイブ細胞からダブルポジテイブ細胞への分化の過程での細胞の生存に関わる障害であった。この時期は胸腺細胞の自己寛容成立の時期であり、その際の胸腺細胞の選別に重要な役割をしていることが示唆された。さらに興味深いことに、T細胞におけるG5PRの役割はB細胞における機能とは異なる経路を介して制御していることが明らかになった。すなわち、B細胞ではG5PRは未熟なB細胞に働くのではなく成熟B細胞ことに抗原で刺激された胚中心B細胞でJNK活性化の経路を制御してBimの活性化を調節して細胞死から免れ、抗原特異的成熟B細胞の選別に機能するが、一方T細胞では未熟なT細胞の選別に機能する。その経路はまた、B細胞における経路とは異なり、JNKからFas発現にいたる経路で働くことが明らかになった。B細胞とT細胞とで抗原受容体からの刺激で細胞の生存に機能する経路が大幅に異なることが明らかになった。この研究はいくつかの点で免疫学上の重要課題をクローズアップさせたと考えている。第一に抗原信号からの生存経路がB細胞、T細胞で異なること。第二はT細胞の選択は胸腺が重要な場であり、B細胞では骨髄細胞と末梢リンパ組織、特に胚中心での選別が重要であること。第三はJNKからFas誘導の経路が実際に胸腺細胞の選別で重要である。これらは、免疫学的寛容の分子機構を明らかにする上で重要であり、自己免疫疾患発症の解明をする大きな手がかりを提示したものである。この研究の成果の一部はMolecular Immunologyに投稿し掲載された。
|
Research Products
(4 results)