2006 Fiscal Year Annual Research Report
TCRから細胞死にいたる信号伝達におけるG5PRの蛋白質脱リン酸化制御の研究
Project/Area Number |
06F06247
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阪口 薫雄 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XING Yan 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | 国際研究者交流 / T細胞の分化、成熱 / アポトーシス / 蛋白質脱リン酸化酵素 / 信号伝達 |
Research Abstract |
抗原特異的細胞死誘導の制御は、免疫学上の重要なテーマである自己反応性リンパ細胞の選別、免疫寛容の成立にもっとも重要で、根本的な研究テーマである。本研究はT細胞抗原レセプター(TCR)から細胞死にいたる信号伝達におけるG5PRの蛋白質脱リン酸化制御機序を明らかにし、「免疫学の寛容」の分子機構の解明を目指している。 我々はB細胞の抗原特異的なアポトーシス誘導経路を制御する分子としてG5PRが重要であることを見出した。G5PR分子は蛋白質脱リン酸化酵素制御分子と相同性を有し、胸腺において強く発現している。T細胞特異的G5PR遺伝子欠損マウスを作製したところ、このマウスでは胸腺におけるT細胞分化、発達に著しい異常を来していた。このマウスの胸腺ではCD4/CD8 double positiveの未熟T細胞が10分の1に減少しており、CD4 or CD8 single positiveの成熟T細胞はほとんど認められなかった。BrdU取り込むアッセーによりG5PR欠損胸腺細胞の増殖能が損なわないが、TUNELアッセーによりこのマウスの胸腺ではTUNEL陽性の細胞が増加しアポトーシスの元進が観察された。G5PR遺伝子欠損胸腺細胞においてはJNKキナーゼの活性化増強とFas ligandの発現亢進が認められた。Fas ligandとFasの結合によるアポトーシスシグナルがT細胞の活性化誘導死を引き起こすことから、JNKキナーゼの活性化増強がターゲット分子Fas ligandの発現誘導をもたらし、それによってT細胞の分化に障害を生じたと考えられた。G5PR分子はアポトーシス経路を制御することによって、胸腺におけるT細胞の分化、成熟に重要な役割を働いていることを明らかにした。
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