2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン病の可逆性神経機能障害関連遺伝子のDNAチップによるスクリーニング
Project/Area Number |
06F06252
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸田 達史 大阪大学, 医学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN Md Siddiqur 大阪大学, 医学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 遺伝子 / 神経科学 / 蛋白質 / 脳神経疾患 / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / DNAチップ / 神経機能障害 |
Research Abstract |
ポリグルタミン(PolyQ)病は種々の脊髄小脳変性症、ハンチントン病などを含む一群の難治性神経変性疾患の総称で、異常伸長PolyQ鎖を持つ原因蛋白質のミスフォールディングが生じ、その結果難溶性の凝集体を形成して神経細胞内に封入体として蓄積し、神経機能障害を来たして最終的に細胞死を引き起こすと考えられている。近年、PolyQ病では著明な細胞死が観察される前から神経症状が出現し、さらにそれが可逆的であることから、神経機能障害により発症することが示唆されているが、その詳細な分子機構は解明されていない。 本研究ではPolyQ病の可逆性神経機能障害の分子機構を解明するために、培養神経細胞での異常伸長PolyQ蛋白質の発現誘導による神経機能障害の出現過程、および異常伸長PolyQ蛋白質の発現遮断による神経機能障害からの回復過程における遺伝子発現の変化を、DNAチップを用いて網羅的に解析する。 本年度は、まず培地中のテトラサイクリン除去により異常鎖長のPolyQ蛋白質Q81-YFPあるいは正常鎖長のPolyQ蛋白質Q19-YFPが発現誘導されるPC12細胞株PC12/Tet-Q81、PC12/Tet-Ql9を樹立し、それぞれのPolyQ蛋白質の発現誘導による表現型の解析を行った。その結果、PC12/Tet-Q19では発現誘導によりQ19-YFPは細胞体にディフーズに分布し、明らかな細胞毒性は認めなかったが、PC12/Tet-Q81では発現誘導約2日後からQ81-YFPが主に細胞質に封入体として蓄積し始め、約1週間で顕著な細胞毒性を認めた。さらに発現誘導約2日後に培地中にテトラサイクリンを再び添加して発現を遮断すると、Q81-YFPの封入体が徐々にクリアランスされ、細胞死から免れることを明らかにした。 以上の結果から、PolyQ病培養神経細胞モデルにおいて可逆性神経機能障害が存在する可能性が示された。次年度にはその過程での遺伝子発現の変化を、DNAチップを用いて網羅的に解析する予定である。
|
Research Products
(4 results)