2007 Fiscal Year Annual Research Report
リゾ脂質受容体を標的としたグリオーマの細胞遊走・浸潤の制御
Project/Area Number |
06F06258
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡島 史和 Gunma University, 生体調節研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALCHINKHUU E 群馬大学, 生体調節研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | グリオーマ / リゾホスファチジン酸 / Ki16425 / 細胞遊走 / スフィンゴシン1-リン酸 / RhoA / PTEN / S1P2受容体 |
Research Abstract |
私達は正常アストロサイトと癌化したグリオーマとの比較実験から、トランスフォーメーションに伴う細胞運動能の変化にはリゾホスファチジン酸(LPA)受容体であるLPA1受容体の著明な増加がともなっていることを明らかにした。新規のLPAアンタゴニストKi16425はこのグリオーマのLPAによるインビトロの運動亢進(細胞遊走、浸潤)をほぼ完全に抑制した。また、グリオーマの運動、増殖制御にはLPA以外のリゾ脂質性シグナル分子受容体も関わっている。S1PはLPAと構造の類似した脂質性分子であるが、独自の受容体サブタイプを複数(S1P1〜5)同定されている。その中でグリオーマ細胞にはS1P2が著明に発現しており、その作用について解析した。その結果、(1)S1PはS1P2受容体を介してLPAによる細胞遊走、浸潤を抑制することを、S1P2特異的siRNAを用いて確認した。(2)S1P2受容体を介したLPA作用の抑制機能に関して特にRhoを介したRac経路に対する効果について解析した結果、LPAはRhoAを活性化しないが、S1P刺激はRhoAを活性化することがプルダウン法によって確認された。また、ドミナントネガチブRhoA、G12/13を介したシグナルを遮断するp115RhoGEFのRGS蛋白の過剰発現実験などから、S1P2受容体はG12/13/RhoAを介してRacを抑制していることが示唆された。(3)最近、S1PがPTENを介してRhoAからのシグナルを伝達していることが報告されている。グリオーマはPTENの遺伝子変異が多数報告されている。そこで、複数のグリオーマ細胞でPTENの発現とS1Pの遊走抑制応答を解析したところ、PTENを発現しないU87MG、1321N1 astrocytomaでもS1Pによる著明な抑制が確認された。従って、グリオーマに関してはS1PがPTENを修飾して細胞遊走を抑制する可能性は極めて低いと言わざるを得ない。S1PがRhoAの活性化以降、どのような機構で細胞遊走、浸潤を抑制するのかに関しては依然不明である。
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Research Products
(5 results)