2006 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチおよび変形性関節症におけるezrinの役割
Project/Area Number |
06F06259
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JULOVE Sohel Md 京都大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 関節リウマチ / 変形性関節症 / 軟骨細胞 / 滑膜細胞 / ERM / サイトカイン |
Research Abstract |
体内で種々の細胞に発現している3つのタンパク質Ezrin, Radixin, Moesin(ERM)は、細胞の構造や機能を制御し、細胞の移動、細胞接着、細胞形態、細胞内シグナルなど様々なプロセスに寄与していると考えられている。しかし関節リウマチ(RA)、変形性関節症(OA)における関節軟骨、骨破壊におけるERMタンパクの役割についてはわかっていない。一方ERMタンパクはCD44やICAM-1などとinteractionを持っていることがわかっており、これらは軟骨細胞、滑膜細胞で重要な働きを示すことを我々はこれまで示してきた。そこで今回我々は軟骨細胞、滑膜細胞を用い、ERMタンパクの役割について調べた。RAおよびOA患者における人工膝関節置換術時に、軟骨、滑膜を患者の同意のもとに採取し単層培養した。これらからタンパクを採取しウェスタンブロットをおこなったところ、ともにリン酸化したERMタンパクを発現していたが、OAに比べ、RA患者から採取した細胞のほうがより強く発現していた。またこれらの細胞に炎症性サイトカインであるIL-1bおよびTNFαを加えたところ、ともにERMのリン酸化を誘導した。さらにIL-1bとTNFαを比較すると後者の方が強く誘導した。またTNFαに加えてprotein kinase C(PKC)阻害薬であるbisindolylmaleimide Iを加えるとTNFαによるERMのリン酸化が抑制された。すなわちこのシグナルにおいてPKCは重要な働きを担うことが示唆された。これらのことからERMタンパクはRAおよびOAの軟骨細胞、滑膜細胞において炎症時にリン酸化され、細胞の生物学的機能に重要な働きを持っている可能性がある。
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