2006 Fiscal Year Annual Research Report
体制移行期の中国における「成長の質」に関するミクロ的研究
Project/Area Number |
06F06312
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 宏 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HE Li Xin 一橋大学, 大学院経済学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 中国 / 社会保障 / 所得再分配 / 年金改革 / 世代間衡平 / 所得移転 / 少子・高齢化 / 格差・貧困問題 |
Research Abstract |
1.中国における生涯を通じた社会保障制度変化による所得再分配効果の分析 (1)中国の1997年年金改革と2005年年金改革による所得再分配効果を、2002年の世帯調査の個票データを用いて実証的に比較分析した。主な実証結果は以下のとおりである。1997年年金改革案に比べ、2005年年金改革案のもとでは全ての世代はより多くの年金給付を受給できるようになった。ただし、給付の限界増加率は年齢の高い世代ほど高くなり、若い世代と40歳、50歳世代の負担・給付格差がかえって拡大された。2005年年金改革案のもとでは、40歳以上の世代においては、1997年改革案よりもっと強い逆進的な所得再分配効果が検証された。以上の成果をまとめた中国語論文は、すでに中国国内のトップ学術誌である『経済研究』に受理されており、近刊予定である。 (2)1988年、1995年と2002年の3時点の世帯調査データに基づき、複数の不平等度指数を用いて、中国都市部の社会保障制度における格差と再分配効果およびその変化を定量的に分析した。この部分の研究はまだ進行中である。研究成果は日本中国経済学会2007年度全国大会と中国留米経済学会2007年総会において報告する予定である。 2.海外聞き取り調査と資料収集 中国の政府機関・研究機関(上海社会保険事業管理センター、中国社会科学院、中国人民大学、上海社会科学院)において、最新の医療保険制度改革や2005年の年金改革案の実施状況などに関する聞き取り調査と資料収集を行った。得た情報を上記(2)の分析とマイクロ・シミュレーション分析のモデル構築に活用する予定である。
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Research Products
(5 results)