2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06317
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本堂 武夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EKAYKIN Alexey Anatolievich 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 同位体組成 / 南極 / 堆積後効果 / 氷床コア / 古気候 / 室内実験 / ボストーク湖 / 氷河学 |
Research Abstract |
南極やグリーンランドで採取された氷床コア研究は酸素・水素安定同位体比の情報から過去の気温を復元し、地球環境の歴史を明らかにしてきた。本研究はその確度に影響を与える積雪中での酸素・水素安定同位体の分別過程を明らかにすることが目的である。本年度は室内実験の準備とデータの収集を中心に行い、以下の成果を得た。これらは、ボストーク深層コアデータ解釈のために重要な知見である。 (1)天然の積雪を模した環境を実験室に作り、空気と積雪の間での水分子交換による安定同位体分別過程を再現する実験装置の設計を行った。 (2)積雪中の安定同位体分別効果の理論的検討を行った結果、気温と雪の涵養量に大きく影響されることが明らかになり、南極内陸部においてその効果は無視できないことが示された。 (3)南極氷床下に存在するボストーク湖の研究からその水の安定同位体比は一定ではなさそうであることがわかった。また、ボストーク湖水が凍結した氷の安定同位体組成から熱水活動の存在が示唆された。 (4)南極ボストーク深層コアの安定同位体組成と掘削孔温度の2つの情報から過去の気温変動に関する研究を行っているが、両者の解析から最終氷期と今日の気温変動は10℃であるという結果を得た。 (5)第52次ロシア南極観測(2006〜2007年)において取得されたデータ分析の結果、ボストーク基地からリッジB(ボストーク湖の西岸)までおよそ60kmにおいて、涵養量が増加していることが示された。さらに内陸において、安定同位体組成はほぼ一定であるが、涵養量は減少していた。
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