2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06317
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本堂 武夫 Hokkaido University, 低温科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EKAYKIN Alexye Anatolievich 北海道大学, 低温科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 同位体組成 / 南極 / 堆積後効果 / 氷床コア / 古気候 / 室内実験 / ボストーク湖 / 氷河 |
Research Abstract |
積雪中での同位体分別過程を明らかにするための室内実験装置の製作を行った。この装置は積雪中の水蒸気と雪の間での水分子移動による同位体分別過程を再現するように設計されている。装置は低温科学研究所技術部にて製作し、断熱性の確認のため予備実験を行った。その結果、装置内部と外部の温度差が50℃の条件下で装置内部温度を設定温度から0.5℃以内の変動に抑えることができた。また、低温実験室の霜取りなど予期せぬ温度上昇にともない暖かい空気を装置内に送り込んでしまうことを避けるため、実験装置外部の温度を感知する温度コントローラを設置した。これらにより実験装置の開発は完了し、-35℃において実験をスタートさせた。さらに、積雪サンプル中の同位体分別、水分子の質量収支を定量的に記述するモデルも構築した。 本研究を進めるために不可欠である南極ボストーク基地、その他の南極内陸部、さらに南極大陸横断調査から得られ利用することができるデータ(A. Ekaykinによる夏の南極での5回の観測データだけでなく、公表済みデータも含む)の編集と整理も行った。その内容は、1)降水、飛雪、積雪の同位体組成と気象条件、2)表面雪、浅いピットからの雪、コア試料の同位体組成、3)深層コア試料の同位体組成、4)気象条件(主に気温、風速、日射バランス)に関係する表面の質量収支(積雪表面での蒸発や昇華を含む)、5)フィルン層内で測定された質量やエネルギーのフラックスデータ、6)フィルン層および氷層表層100mでの温度分布、7)微気象観測(水蒸気やエネルギーのフラックスの変化率に関する研究を含む)に関するものである。雪の堆積後効果(同位体組成や質量収支等の堆積後変化)に関する公表済み研究データや観測データの調査も行った。その結果、堆積後効果の強さは温度と風速に相関し、涵養量と雪の密度に逆相関することが明らかになった。南極大陸内陸部(ボストーク基地)においては、堆積後の同位体組成変化は低い涵養量によって促進されるが、低温によって抑制され、結果として現れるその堆積後効果はあまり強くないと考えられる。
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Research Products
(8 results)