2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06338
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 公一 東北大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LUO Yi 東北大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポテンシャルエネルギー曲面 / 反応ダイナミクス / 反応経路 / 遷移状態 / 平衡構造 / 超球面探索法 |
Research Abstract |
化学反応は、量子化学計算に基づくポテンシャルエネルギー曲面(PES)上の遷移状態(TS)を求めることによって解析できる。反応経路はTSから始まる最急降下経路で近似することができ、より定量的な解析のためのダイナミクス計算の出発点としても利用することができる。TSは、PES上の一次鞍点に相当するため、化学反応の理論解析は、PES上の一次鞍点を探索する問題であると考えることができる。しかし、PESは分子の振動の自由度と同数の変数を持つ多次元関数であり、多次元空間内で一次鞍点を探索するには、膨大な手間と計算量がかかってしまう。申請者らは、平衡構造(EQ)から出発して、エネルギーの高い方へと反応経路を辿ってPESを上り、TSを自動探索できる手法を開発した。本手法の開発により、EQからTsへ、TSから別のEQへと反応経路を辿って、PES上のEQとTSを次々と芋づる式に探索することが可能となり、PES全体の系統的な自動探索が可能となった。本研究では、超球面探索法を用いてEQとTSを探索し、さらに、得られたEQやTSからのダイナミクス計算を行うことによって、分子構造と化学反応メカニズムの解析を行った。今年度は、水素吸蔵物質として注目されているアミンボラン1(BH_3NH_3)からの、触媒を用いた水素分子脱離反応に応用し、実験の反応メカニズムを解明した。また、酸性水溶液のモデルクラスターであるプロトン化水クラスターH^+(H_2O)_nに応用し、得られた最安定構造からのダイナミクス計算と、得られた多数のEQにおける振動数解析の結果に基づく熱力学シミュレーションを行って、有限温度におけるクラスターの構造を明らかにした。
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