2008 Fiscal Year Annual Research Report
X線分光とSTMによるリアルタイム表面反応追跡とシミュレーション解析
Project/Area Number |
06F06339
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
近藤 寛 Keio University, 理工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAURIN Mathias 慶應義塾大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | NEXAFS / XPS / STM / 表面反応 / モンテカルロ法 / 反応シミュレーション |
Research Abstract |
今年度は最終年度であり、これまでの研究を土台にして以下の二つの成果を得ることができた。 (1)LSI等の配線材として使われている銅の上に電子デバイスとなる有機分子の単分子膜を形成することが見込まれる。銅単結晶基板上のアルカンチオレート自己集合単分子膜はその最も単純なモデル系であり、分子がどのように銅基板上に単分子膜を形成するかを理解するのに適している。我々は、X線分光とSTMを組み合わせたアプローチによって、銅表面第1層が一旦破壊して、銅3原子とチオレートが結合した錯体を形成し、それが規則正しく配列する単分子膜形成様式を見出した。チオレートが単に銅表面に結合するというよりは、銅原子と錯体を形成して配列する様式であることが分かり、チオレート分子と銅電極の間の電気伝導を考えるうえで重要な構造情報を提供することができた。 (2)パラジウムは自動車排気ガスに含まれる有害ガスである一酸化炭素を酸化して有害度の低い二酸化炭素に変換する重要な固体触媒である。この反応では、弱く吸着したCOが反応に関わっている可能性がSTMやX線光電子分光を用いた反応のリアルタイム解析によって見出されている。この反応のメカニズムを調べるために、モンテカルロ法に基づいた反応シミュレーションコードをC++で開発した。このシミュレーションによって、特異な反応描像はパラジウム原子を介した一酸化炭素と酸素の間の強い反発相互作用によって説明できることを明らかにした。このコードは、他の表面反応のシミュレーションにも用いることができる汎用表面化学反応シミュレーションコードであり、広く表面反応解析に応用が可能である。
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Research Products
(1 results)