2006 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素を含む新規ラダー型π電子系化合物の合成と性質
Project/Area Number |
06F06341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 茂弘 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Hongyu 名古屋大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ラダー型分子 / π共役 / スチルベン / ベンタレン / 蛍光 / 有機トランジスタ |
Research Abstract |
完全に平面に固定されたπ共役骨格をもっラダー型分子は,有機電界発光(OLED)素子や有機電界効果型トランジスタ(FET)などの有機エレクトロニクス分野において高い潜在性をもつ有望な材料として期待される化合物群である.本研究では,新たなラダー型π電子系として炭素架橋オリゴ(フェニレンビニレン)を設計し,その合成法の開発と,誘導体合成,基礎物性評価を進め,材料としての可能性を追求することを目的としている.また,炭素架橋体の他にも,リンやホウ素などの様々な典型元素を用いた一連の新規ラダー型分子の合成についても検討したい. これまでに当研究室では,オリゴ(フェニレンエチニレン)の還元的分子内環化反応という独自の合成法により,ケイ素と炭素で架橋されたジスチリルベンゼンの効率的合成を達成してきた.そこで本年度はまず,この反応を基に炭素架橋体の合成を検討することとした.反応開発のためのモデル標的化合物として炭素架橋スチルベンを設定し,フェニルアシル基をもつジフェニルアセチレンを鍵出発化合物に用いた還元的分子内環化反応について検討した.この基質をリチウムナフタレニドを用いた還元反応を行うことにより,分子内二重環化反応が進行し,目的とす炭素架橋スチルベンのジヒドロキシ体が生成することが分かった.さらに,この生成物は酸処理などの操作により簡単にペンタレン誘導体へ変換可能であることも明らかとなった.両者の生成物はともに強い蛍光や小さなHOMO-LUMOギャップを特異な骨格であり,新たなラダー型π電子系材料の基本骨格として興味深い.現在,この合成法の更なる改善を図り,一般的合成法として確立することを鋭意検討中である.
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