2007 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素を含む新規ラダー型π電子系化合物の合成と性質
Project/Area Number |
06F06341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 茂弘 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Hongyu 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ラダー型分子 / π共役 / スチルベン / ペンタレン / 蛍光 / 有機トランジスタ |
Research Abstract |
完全に平面に固定されたπ共役骨格をもつラダー型分子は,有機電界発光(OLED)素子や有機電界効果型トランジスタ(FET)などの有機エレクトロニクス分野において高い潜在性をもつ有望な材料として期待される化合物群である.本研究では,新たなラダー型π電子系として炭素架橋オリゴ(フェニレンビニレン)およびその類縁体を設計し,その合成法の開発と,誘導体合成,基礎物性評価を進めてきた.昨年度までにビス[0-(アリールカルボニル)フェニル]アセチレンの還元的分子内環化反応という独自の合成法を開発し,炭素架橋スチルベンおよびジベンゾ[b,f]ペンタレンの合成が可能であることを示した.今回この反応をさらに検討していく過程で,同じ基質に対し光照射するだけで,エキソ環化的[2+2+2]付加環化反応が進行し,3,3'-ジアリール-1,1'-ビ(イソベンゾフラン)が高収率で得られることを見いだした.この手法により一連のアリール基を導入した誘導体の合成が初めて可能となった.得られたπ電子系化合物は,高い平面性をもち,結晶構造において密なπスタッキングにより1次元的カラムを形成する.また,イソベンゾフラン骨格のキノイド性を反映して,低い酸化電位および小さなHOMO-LUMOギャップをもち,長波長領域での吸収・蛍光を示した.新たな低バンドギャップπ電子系として興味深い化合物群といえる.この他,当初の計画の炭素架橋ラダーπ電子系の開発にも引き続き取り組み,上述の環化反応の最適化を行うとともに,ジベンゾペンタレン骨格の官能基化法の開発も達成し,続くクロスカップリング反応によりπ共役骨格を拡張する方法論を開発した.
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