2007 Fiscal Year Annual Research Report
多金属複合触媒による高選択的反応の開発と炭素クラスター化合物への応用
Project/Area Number |
06F06345
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NORINDER K.Jakob 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機金属化学 / 炭素炭素結合生成 / 炭素水素結合活性化 |
Research Abstract |
本研究課題では、多金属複合触媒、特に遷移金属と典型金属の組み合わせを利用した高効率・高選択的有機合成反応の開発と応用を目的として研究を行っている。本年度は、鉄触媒、アリール亜鉛反応剤およびジクロロアルカンを用いた2-アリールピリジン類の直接的C-Hアリール化反応の開発に成功した。本反応は、安価かつ低毒性の鉄触媒を用いた炭素-水素結合活性化/炭素-炭素結合生成反応として、実験室レベルで実用的な初めての例である、以下にその概要を述べる。 鉄は資源豊富(安価)でかつ無毒(低環境負荷)な金属として、有機合成触媒としての利用が期待されているが、いまだその適用範囲は狭く、開拓の余地が多く残されている。一方、遷移金属触媒による炭素-水素結合の解裂を伴う炭素炭素結合生成反応は、最も直戴的な有機分子変換法として注目を集め、精力的に研究されてきた。しかし、従来は一般的にロジウム、ルテニウム、パラジウム等の希少貴金属が主に触媒として用いられてきており、安価な遷移金属を使った反応はほとんど知られていない。 本研究では、鉄触媒を用いた炭素-水素結合活性化の可能性について広範な探索的検討を加えた結果、以下の反応条件による芳香族C-H結合活性化を経るアリール化反応を見出した。すなわち、2価または3価の鉄塩と窒素二座配位子からなる鉄触媒、塩化亜鉛ジアミン錯体とグリニャール試薬から調製されるアリール亜鉛反応剤、および1、2-ジクロロアルカンを2-アリールピリジンに作用させると、ピリジン近傍のC-H結合アリール化が良好に進行する。
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