2007 Fiscal Year Annual Research Report
鉄触媒交差カップリング反応の精密制御と合成への応用
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06F06346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 正治 Kyoto University, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHORAI Sujit Kumar 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 鉄触媒 / クロスカップリング / 精密合成反応 / 普遍金属 / 塩化アルキル / N-ヘデロサイクリックカルベン / 有機マグネシウム化合物 / 化学資源 |
Research Abstract |
本研究では,安全・安価な鉄を使うクロスカップリング反応の精密制御を達成し,この新規触媒的炭素-炭素結合生成反応を,有用物質合成へと応用することを目標としている.鉄触媒は反応系中での酸化・還元状態の制御が必ずしも容易ではないが,電子供与能に優れるN-ヘテロサイクリックカルベン配位子を用いて望みのクロスカップリング反応を,より選択的かつ高効率で行うことを検討する.最終的には,立体制御による触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応の実現を達成することで,この新規クロスカップリング反応を生理活性物質などの複雑分子合成に展開することを計画している. 平成19度は前年度の成果を受けて,鉄触媒クロスカップリングのポリ塩化アルキルと芳香族マグネシウム反応剤との多重クロスカップリング反応への応用を検討した.その結果,初年度に発見していたN-ヘテロサイクリックカルベン配位子が上記多重クロスカップリング反応に極めて有効であることが明らかになった.同位体標識実験を行うことによって,反応機構の解明を試みたところ,立体的に純粋なジアステレオマーから完全な混合物が得られたことから,同反応はラジカル的な反応機構で進行していることが示唆された.この成果については第41階IUPAC世界化学会議(トリノ,イタリア)にてポスター発表を行い,論文を投稿準備中である.
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