2008 Fiscal Year Annual Research Report
鉄触媒交差カップリング反応の精密制御と合成への応用
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06F06346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 正治 Kyoto University, 化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHORAI Sujit Kumar 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 鉄触媒 / クロスカップリング / 精密合成反応 / 普遍金属 / 塩化アルキル / N-ヘテロサイクリックカル / 有機マグネシウム化合物 / 化学資源 |
Research Abstract |
本研究では,安全・安価な鉄を使うクロスカップリング反応の精密制御を達成し,この新規触媒的炭素-炭素結合生成反応を,有用物質合成へと応用することを目標としている.鉄触媒は反応系中での酸化・還元状態の制御が必ずしも容易ではないが,電子供与能に優れるN-ヘテロサイクリックカルベン配位子を用いて望みのクロスカップリング反応を,より選択的かつ高効率で行うことを検討する.最終的には,立体制御による触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応の実現を達成することで,この新規クロスカップリング反応を生理活性物質などの複雑分子合成に展開することを目指し研究を遂行した. 平成20年度は,正孔注入剤などの電子素材として重要なアリールアミン類の合成に鉄触媒クロスカップリングが応用可能であるか探索実験を行った.クロラミンを基質として用い,芳香族マグネシウム反応剤によるクロスカップリング反応を試みた.同反応は通常,ラジカルを経由する副反応のため芳香族アミンは得られ目標化合物の合成は困難を極める.THFを溶媒として用い,低温下で塩化鉄とクロラミンの溶液に芳香族マグネシウム反応剤を添加することで,高収率で芳香族アミンが得られることが明らかとなった.また第二級アミンをマグネシウムアミドに変換した後に,鉄触媒存在下芳香族臭化物とカップリング反応が進行することも見出した.現在以上の成果とともに,前年度までに行った塩化アルキルのクロスカップリング反応と併せて二報の論文を現在執筆中である.
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