2007 Fiscal Year Annual Research Report
オレフィンの精密配位・メタセシス重合のための高性能バナジウム錯体触媒の設計・合成
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06F06349
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 文娟 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | バナジウム / オレフィンメタセシス / アルキリデン錯体 / 配位・挿入反応 / アルキル錯体 / 配位子効果 / オレフィン重合 / 触媒設計 |
Research Abstract |
本課題はオレフィンの精密重合を指向した高性能バナジウム錯体触媒の設計・合成とその特徴を生かした高分子機能材料の創製に関する。特に今迄の成果を基盤にアリールイミド配位錯体に注目し、アニオン性キレート配位子を有する錯体を各種合成し、オレフィンの配位重合やメタセシス反応に有効な高性能触媒の創製を目的としている。平成19年度の主な成果は以下の通りである。 本課題で従来使用していたアリールイミド配位子よりも電子供与能の高いアダマンチル配位子に注目し、同配位子及びアニオン性支持配位子(アリロキソ、ケチミド)を有する各種バナジウム(V)-ジクロロ錯体を合成・同定し、一部の錯体の構造解析に成功した。この錯体はメチルアルミノキサン助触媒の存在下でエチレン重合触媒として機能するだけでなく、有機金属試薬との組み合わせで環状オレフィンの開環メタセシス重合触媒としての機能を発揮することを明らかにした。同配位子を有するトリアルキル錯体の合成・構造決定にも成功し、その反応性を詳細に検討している途上である。 本課題で有効と期待される非対称型キレート配位子である各種ピリジン配位子を、初期に想定した合成スキームに従って検討している。現時点で出発錯体であるジクロロ錯体の合成・同定とX線による構造決定に成功し、さらに関連のアルキル錯体の合成まで達成している。今後はアルキル錯体の反応性を検討しつつ、目的とするアルキリデン錯体の合成手法を確立したいと考えている。
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