2006 Fiscal Year Annual Research Report
高次機能性ナノ金属錯体:スピンクロスオーバーや伝導性を示す単分子量子磁石の創製
Project/Area Number |
06F06351
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 正廣 東北大学, 大学院理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Shi 東北大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 分子磁性 / 結晶構造 / 複合物性 / 量子磁石 / 導電性 / スピンクロスオーバー |
Research Abstract |
本研究においては,分子一つ一つが磁石として振る舞うナノ磁石(単分子磁石・単一次元鎖磁石)を研究対象とし,さらにスピンクロスオーバーや電気伝導性などの物性と量子磁石が共存する高次機能性ナノ金属錯体の創成を目的として遂行されている.本年度は,単分子磁石として振る舞うMn(III)-salen錯体とヘキサシアノ鉄(III)イオンとの反応により得られる錯体において,0次元から1次元系への分子構造の拡張と,それに伴う磁気特性の変化の解明に主眼をおいて研究を遂行した.その過程において,Mn(III)-salen単核錯体とFe(CN)3(Tp)ユニットが交互に配列した一次元錯体の合成に成功し,その結晶構造と磁気的性質の解明に成功した.本錯体においてはhigh-spin Mn(III)(S=2)とlow-spin Fe(III)(S=1/2)が交互に配列した一次元鎖を形成しており,隣接する金属イオン間には強磁性的な相互作用が働いていた.また,低温における磁化の磁場依存性を測定したところ,本錯体はメタ磁性的に振る舞うことも明らかになった.磁化率の温度依存性についていくつかのモデルを基にシミュレーションを行ったところ,Mn(III)イオンの磁気異方性パラメータDを見積もることにも成功した.これらの結果については,分子軌道法に基づく理論解析からもその妥当性が裏付けられた.
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Research Products
(1 results)