2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALAM Mohammed Akhtarul 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | キラリティー / 渦 / ポルフィリン / ナノファイバー / 円二色性 |
Research Abstract |
色素分子であるポルフィリンは、可視領域に非常に強い光吸収(Soret band)および発光を持ち、様々な分光学的実験に対して極めて有用な化合物である。そのようなポルフィリン分子間にヘテロな相互作用を形成させるために、一分子に複数個の官能基を導入することによる分子プログラミングを行い、規則的な自己集合化による超分子ポリマーの構築を謀った。色素分子であるポルフィリンに一次元の超分子ネットワークを構築させるためにカルボン酸フェニル基を導入し、一方、分子の溶解性の向上とポルフィリンの集合化の安定化を狙いデンドリマーユニットを持つポルフィリン亜鉛錯体1を設計・合成した。ベンゼン中での吸収スペクトルにおいて、1は、J-会合体に特徴的な分裂型Soret band(413 and 452 nm)を与えた。さらに原子間力顕微鏡(AFM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によって、一次元超分子ポリマーの形成を確認することができた。 このデンドリマーボルフィリン1の超分子ポリマー溶液(3mL,6.0×10^<-6>M)を20℃において、1.0×1.0×4.0cm石英セル中、無撹拌条件下、CDスペクトルを測定したところ、CDは検出されなかった。ところが、撹拌条件下(φ02×1.0cm撹拌子)で測定を行ったところ、非常に強いCD(Δε=200-300M^<-1>cm^<-1>)が得られることがわかった。CDの誘起および符号は、撹拌のON/OFFそして撹拌の向きに即座に応答して可逆的に変化した。一方、同様の操作において、吸収スペクトルや蛍光スペクトルにほとんど変化が見られなかったことから、このCDの誘起は1の集合化形態の大きな変化によるものではなく、ポリマーの渦に対するマクロな配向およびコイリングなどが原因と考えられる。 CDの強度は溶液の温度と濃度、撹拌の速度と位置に大きく依存することがわかった。低温条件下、高濃度の1を用い、撹拌の回転速度を上げ、そして撹拌位置をスペクトロメーターの光路に近づけることで大きなCD強度を得ることができた。また、非常に面白いことに、CDの符号は、撹拌の向きだけでなく撹拌位置(光路の上下)で反転することがわかった。
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Research Products
(1 results)