2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノグラファイトの特異な磁性と電界効果トランジスタを用いた電荷・磁性制御
Project/Area Number |
06F06353
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOSEPH Joly V.L. 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノグラフェン / ナノグラファイト / 磁気緩和 / ナノポア / 磁性 / 気体吸着 |
Research Abstract |
ナノグラファイト・ドメインが3次元無秩序ネットワークを構成する活性炭素繊維のエッジ状態に起源の磁性について以下の2つの研究をおこなった。(1)ESRにおいてマイクロ波を共鳴吸収したエッジ状態スピンは大きく平衡状態からのずれを生じ、エッジ状態と相互作用する伝導電子も平衡状態から大きくずれる。このようなことを基礎に、真空中におかれたナノグラフェンへのマイクロ波の共鳴吸収により、エッジ状態スピンと伝導π電子を平衡状態からずらし、非平衡状態での電子輸送現象の可能性を調べた。この結果、共鳴条件、非共鳴条件ともにマイクロ波照射下では、電気伝導度の上昇がみられた。この上昇はマイクロ波強度の増加に従って増加することが明らかとなった。このことは、非共鳴条件下においても渦電流によるジュール加熱が起こり、試料温度が上昇していることを意味しているものと考えられ、共鳴吸収によって生じる試料温度の不均一性は測定限界以下であることが示唆される。以上の結果を基礎に、現在、測定条件、試料ホルダーの再検討を行っている。(2)活性炭素繊維のナノポアへのAr、Heガス吸着に伴うエッジ状態スピンの静的、動的挙動を調べた。Arを吸着させると、Arの沸点以下においてESRの線幅の大きな増大が観測された。このことはArのナノポアへの凝集により、ナノグラファイトが押しつぶされ、結果としてエッジ状態スピン間相互作用が増強され、反強磁性揺らぎが発生したものと理解される。Heを吸着すると150K以下において、ESR線幅の大きな増加が観測された。このことは、ナノグラフェンからの分極効果によりHe原子間相互作用が増加し、極めて小さいHe原子しかは入れないウルトラマイクロポア中にHeが吸着されたことによるものと思われる。
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